Key words:Cerladder,Ceramic Resonator,Filter,CSB455E,Ladder Filter,SSB,CW,455KHz,Ceralock

What's the "Cerladder Filter" ? (Part.2)

・・・It's the Ladder Filter made of ceramic resonators.
世羅多フィルタってなんですか?・・・Part 2

(Ver.1.0:Feb.12th 2004+Ver.1.0.0a :Feb.12th 2004+Ver.1.1.1 :Feb.14th 2004+Ver.1.1.2 :Feb.15th 2004+Ver.1.2.0a :Feb.22th 2004+Ver.1.2.0b :Mar.3rd 2004+Ver.1.2.0c :Apr.6th 2004+Ver.1.2.0d :May 9th 2004+Ver.1.2.0e :Oct. 12th 2004+Ver.1.3.0:Oct. 22nd 2007+Ver.1.3.1:Feb. 23rd 2008+Ver.1.3.2:Mar. 4th 2008)

Creladder CW Filter

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written by Takahiro Kato JH1WBU/JA9TTT, Saitama JAPAN

http://ja9ttt.homedns.org/hamf/myexp/Cerladder_P2.html



このページの目的
世羅多フィルタとはセラミック振動子を使って自作したラダー型フィルタの愛称で、私の造語です.『作ってみよう、世羅多フィルタ』の第2回目として、セラミック振動子の選別からはじめ、フィルタの製作と評価までを纏めてみました.


関連のページ
世羅多フィルタの設計・製作・応用編には、以下のページがあります.


世羅多フィルタの構成
Part.1ではセラミック振動子とその特性について水晶振動子との違いやフィルタ製作のための適性を調べました.セラミック振動子も水晶振動子と同じような周波数特性を持ってますが、等価回路の定数はずいぶん違っていました.そのため、高い周波数のセラミック振動子では狭帯域フィルタは難しいこともわかりました.しかし、ラダー型フィルタの構成にあたっては水晶もセラミック振動子も違いはありません.これら内部定数の違いさえ考慮してやれば同じように製作可能です.さっそく安価に入手できた村田製作所製のセラミック振動子『セラロック・CSB455E』を使って世羅多フィルタの設計から始めて見ましょう.


セラミック振動子の入手について
秋葉原のジャンク屋さんにたくさん出回っています.また通信販売でも入手できます.しかし、ここでは自作派の人気サイトgenpin・com(現品ドットコム)で500個\1,990-と言う破格値で売っているCSB455EBを使います.現品限りのお店ですからじきに品切れになると思いますが、今後もジャンクが登場するチャンスは幾らでもありそうです.また、これよりは少し高くなりますが秋葉原や日本橋の電気街でも容易に手に入ります.従来は、幾ら安くても、そんなにたくさんいらない『猫またぎ』部品でしたが、こんな自作フィルタに使えるのならチョットだけ価値が出てきました.ジャンク屋巡りの際には気に止めておくと良さそうです.


ご案内
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Ladder_Filter_Design.GIF Ladder_Filter_Design
今ではすっかりポピュラーになった簡単ラダーフィルタの設計方法です.設計方法は左の図に詳しく書いてあります.必要な情報は直列・並列共振周波数の差Δf=fp-fsと、振動子の電極間容量Csの二つですが、すでにPart.1でわかっていますから簡単ですね.CSB455Eの場合、Δf=15.5KHz、Cs=270pFで設計すれば良いでしょう.他の振動子を使う場合には実測が必要です.また、同じ型番のセラロックでも異なることがありますので、入手先が違う場合には実測してから使うことをお薦めします.

ラダーフィルタ計算機
測定器掲示板でおなじみのJE6LVE/3高橋さんにJavaScriptで動作するラダーフィルタ用計算機を作って頂けました.実測で求めた(セラミックor水晶)振動子の定数を入れることで、希望のフィルタが簡単に計算できるので便利です.設計に必要な情報は、(1)Δf=fp-fs、(2)端子間容量Cs、(3)振動子の直列共振周波数(概略値で良い)、そして(4)希望するフィルタの通過帯域幅Bwです.これで、結合容量Cc、終端容量Ct、終端インピーダンスZtが求まります.結合容量Ccから帯域幅Bwを逆算する機能もあるので標準値のコンデンサへの置換え検討にも便利です.ぜひ利用して下さい.
計算機はこちら:==>ラダーフィルタ計算機(別のウインドウで開きます)


Ceramic_Ladder.GIF Cerladder_Filters
これから試作する世羅多フィルタを纏めてみました.全く同じものを製作されるのでしたら、同じ定数で良いでしょう.しかし、自分の好みに合った通過帯域幅のフィルタが作れるのが良いところですからぜひともご自身でも設計してみて下さい.難しくはありませんよ.なお、例によって、回路定数(コンデンサの値)は、まずは希望通過帯域幅で計算し、その値に近い標準値のコンデンサに置き換えを行ないます.逆算から通過帯域幅を求め、希望の数値から極端な違いがなければ標準的な値のコンデンサで製作します.参考までに、6KHz幅のAM用フィルタの場合、C1=C6=750pF、C2〜C5=1500pF、Zo=480Ωになります.また、少し広いSSB用には、C1=C6=2150pF、C2〜C5=4300pF、Zo=165Ωくらいになります.CW用は左図よりも狭いものも計算上設計できますが、振動子の選別がシビアになるため、『発振周波数法』での選別では不十分です.また、終端インピーダンスZoも低くなりすぎるのでマッチングもしにくくなります.振動子のQも低いことから通過損失も大きくなるため、あまり狭い帯域幅での設計はお薦めしません.通過帯域幅1KHz程度で設計するとQが低い振動子で顕著になる『通過帯域幅減少』がある関係で、実測で850Hz程度の幅になります.ここで目指しているのは、高級なフィルタではなく、安価に楽しめるフィルタですからこれでも十分でしょう.メーカー製のクリスタルフィルタのような特性をお望みなら、お買い求めになるのが最適です.しかし、実際に使ってみますとそうしたフィルタよりも了解度が良いと感じることさえあります.実装状態ではさして遜色は感じないと思います.数値やグラフに惑わされず、まずはご自身で使ってから判断されることをお薦めします.何しろこのフィルタの原材料費は1個5円のセラロック×5個=25円とそのほか合計でも100円位のチープなものです.ですから性能が悪いと言って私にクレームを言わないで下さいね.(下の方までご覧になればクレームもゼンゼン出ないと思いますが・・.Hi)


CMOS_OSC_PH.JPG セラミック振動子の選別作業
選別の必要性について:
ラダー型フィルタの基本は、全ての振動子の周波数が同じであることを前提にしています.従って、理想的にはピッタリ一致している方が良いわけです.それに近づける作業が実測と選別ということになります.ちょと面倒ですが簡易な方法でやってみましょう.何もしないよりはずっと良いものが作れるはずです.本格的には、Part.1でも説明したように、発振器と高周波電圧計(オシロスコープ等)を使ったり、ちょっと高級になりますが、トラッキング・ジェネレータ付きスペクトル・アナライザやネットワーク・アナライザのような測定器が利用できたら最高です.しかし、皆が楽しむには簡単な方法で好結果が得られればそれがベストです.高級な測定器を使うのが偉いわけでもありません.それで、写真のような選別用発振器を作ってみました.これで十分でしょう.あとは安定化電源と周波数カウンタがあればOKです.振動子の周波数はどのくらいまで揃えたら良いかと言う指針ですが、概ね通過帯域幅の10%以内の違いにすべきでしょう.もし、1KHz幅のフィルタを設計するのなら、振動子の周波数は1KHzの10%=100Hz以内に揃っていないと良い特性が出ません.3KHz幅なら300Hz以内です.


CMOS_OSC_V2.GIF 上記発振器の回路図です.最初はメーカー指定の定数で製作しましたが、なるべくラダー型フィルタの選別に有利なように、直列共振周波数fsに近い周波数で発振するようにしました.(なぜfsに近いところで発振させたいかは、Part.1をもう一度良くお読み下さい)回路図のC5=470pFの追加がしてあります.このコンデンサを取ってしまうと約455KHzで発振します.(455KHz発振用のセラロックですからあたり前ですな)このような変更を行なうと、発振条件は厳しくなります.ICのバラツキなどによって、どうしても発振しないようでしたら、220pFとか330pFに変更しても良いでしょう.しかし、選別には少々不利になりますのでなるべく470pFが良いでしょう.製作上の注意は回路図にも書き込んでおきました.

CSB455E_Freq_TBL.GIF 上記の発振器で50個のセラロックを測定してみました.測定時の注意は、左図にも書いておきましたが、なるべく誤差が出ないように測定することです.セラロックは温度に敏感なので、体温が伝わらないようにして測定します.軍手でも良いですから、手袋をして最短時間触れるだけにしてソケットの抜き差しをします.室温の変動も少ないほうが良いでしょう.周波数カウンタで読むことになりますが、カウンタの精度は良くなくても良いのです.ただ、測定中にカウンタ自身の基準発振器が変動しないように十分にウオームアップしておいて下さい.周波数の絶対精度は必要ありませんから、校正などは不要です.表は、単に纏めただけですからこれからなるべく近い周波数のものを選ぶのは大変そうですね.

CSB455E_Select.GIF 上記の表では選別がたいへんです.そこで、表計算ソフト、EXCELに移し替えて選別しやすくします.振動子の番号とその周波数をインプットしたら、周波数順に並ぶように並べ替えを行ないましょう.その後、5個飛びに周波数差を計算する式を入れてやります.こうすれば、5個の間の周波数の違いが最も少ない物を容易に選べます.一応、7個飛びの計算もしてみましたが、7個で高性能なフィルタを作るためには150個位から選別したほうが良さそうです.しかし、7素子型は損失が大きくなるのであまりお薦めいたしません.3素子型では物足りませんが、5素子型なら実用上十分だというのが実験から得られた結論です.


発振周波数で選別する方法の評価
振動子を選別する目的は、直列共振周波数を合わせるためです.最も良い方法は、Part.1に説明があるように、周波数特性を測定することです.しかし、測定が簡単な『発振法』で行ないました.この方法も水晶振動子をつかったラダー型フィルタの製作で実績があり、簡便ながら良い方法だと思っています.しかし、直接的に直列共振周波数fsを計測するわけではないので、どの程度の一致度なのか気になっていました.そこで、発振周波数で選別した上記のA組からF組までの振動子の直列共振周波数を実測してみました.結果から言いますと、どの組も100Hz〜200Hzには入っておりました.従ってSSB用フィルタには十分な精度です.CW用ではもう少しシビアに選別したい気もしますが、マズマズでしょう.もし、CW用を製作して、通過損失がやや大きかったり、通過帯域に凸凹が大きく出るようなら、別の組も試して下さい.発振周波数ではバラツキが大きかった組でも、実際のfsのバラツキは少ない組もありました.或いは本格的に直列共振周波数fsを測定されるのも良いでしょう.その場合も発振周波数で一旦並べ替えて、周波数が近いものから行なうと効率が良いです.

発振周波数法によるフィルタの試作結果:
発振周波数による選別を行なった振動子でフィルタを作成して比較してみました.SSB用、CW用ともに確認しましたが、以下の特性と殆ど一致します.少々心配だったCW用も良い特性が得られました.むしろ、ややラフな選別だった下記の例よりも多少良い特性でした.従って、発振周波数で選別して十分良いフィルタが製作可能なことがわかりました.(Feb.14th 2004)

使用時の終端インピーダンスについて
SSB用フィルタの設計上の終端インピーダンスZtは約150Ωですが、使うときには、やや高めの220Ω程度にすると肩部分の丸みが緩和されるようです.同じくCW用でもZtの設計値は約50Ωですが、90Ω程度で使うと対称性が改善されました.これは多少高い方へミスマッチにして改善すると言う考え方、あるいはQの低いセラミック振動子の内部抵抗との関係でやや高い方がマッチングが良くなると言う考えかたもできそうです.微々たる差なので、実際に使う上での聴感差は少ないと思われますが、回路設計の時には考慮しておくと良いでしょう.なお、実際に使うときに、やや高い終端インピーダンスで使うと特性が良くなるという意味であって、フィルタの設計を変えると言うことではありませんので勘違いされませんように.(Feb.15th 2004)

振動子の並べ方
ほんらい、全部の振動子が同じ周波数に揃っていれば、並べる順番は関係ありません.しかし、実際には低い物から高いものまで5種類の組み合せになります.そこで、気休め程度かも知れませんが、少しでも有利な並べ方で作ってみましょう.周波数が低い順に1・2・3・4・5だとします.その場合、1・3・5・4・2のように並べるのが良いはずです.もちろん、2・4・5・3・1でも同じです.要は周波数が低い物を両端に置き、高いものを真中にすると言うことです.これはメッシュ周波数を揃えると言う意味で、両端の振動子の直列共振周波数fpが終端容量の関係で高めになるからです.しかし単に並べ替えただけで厳密に補正できるものではなく、あくまでも気休めです.詳細は参考文献をご覧いただき、高度なフィルタの製作の際に応用して下さい.何も考えずにやるよりも良いでしょう.折角ですから少しでも有利な方法で作りましょう.(Feb.15th 2004)


CLF_Parts.JPG CW用5ポール世羅多フィルタの製作と評価
さっそく製作しましょう.写真は使用したセラロックとコンデンサです.使うコンデンサは誤差が少なく、Qが高いものが最適です.マイカコンデンサ、スチロールコンデンサなどが良いのですが、『温度補償系』と言う、バイパスコンデンサとは異なる系列の積層セラミックコンデンサも十分使えるようです.多少温度係数が悪くても神経質にならなくても良いです.できたらCメーターなどで一度は測定してみて誤差が少ないものを選びましょう.容量が大きくなる関係で、マイラーコンデンサなどを使いたくなりますが、もちろん大丈夫です.455KHzと周波数は低く、低周波のようなものですから問題ありません.もちろん、神経質なお方は高級なコンデンサをお使いになるほうが精神衛生上宜しいかも知れません.Hi


CSB455_Tapeing.JPG このように並べて、両面テープで基板に貼付けてやるとまとまりが良いようです.各自製作の流儀があるようですのでご自由な方法で製作されて下さい.実装時の注意としては、『入出力間の結合が生じないように配置する』、『共通インピーダンスでの結合がないようにする』などです.共通インピーダンスの問題は難しそうですが、アースパターンを広く取ってインピーダンスが低くなるようにするのがマズは効果的です.

CLF_455CW5_00.JPG こんな感じで完成しました.小さな形状に仕上げたので、あとで回路に組込むのも容易でしょう.理想を言えばシールドケースに入れたい所です.お好みで工夫して下さい.

CLF_455CW5_05.JPG さっそく測定してみましょう.中心周波数は443.63KHzになりました.最初は、-6dB帯域幅を観測します.2点マーカーの間が-6dB帯域幅です.約825Hzでした.横軸全体で5KHzと言う拡大表示ですから、山形のさえない特性に見えますが、そんなことはありませんよ.

CLF_455CW5_10.JPG 横軸全体を10KHzにして、-60dB幅を計測しています.3.27KHzでした.シエープファクタは3.96でした.余り良くないようにも思えますが、通過帯域がちょっと丸いのでその関係もありましょう.しかし、後でご覧のように中々の物なのですよ.これでも.Hi

CLF_455CW5_20.JPG 横軸全体を20KHzに広げました.帯域外減衰量も十分とれています.これは、一般市販のセラミックフィルタ以上に良い特性でしょう.ハイゲインなIFアンプを試みるなら、ぜひとも帯域外減衰量はこのくらい欲しいです.

CLF_455CW5_50.JPG 横軸全体を50KHzに広げ、同じく、近傍にスプリアス特性がないか調べています.問題ありませんね.

CLF_455CW5_HIKAKU.JPG 上記の特性図ではピンと来ないと思いますので、ポピュラーな例と比較してみましょう.昔のお馴染、トリオのT-11型IFTを使った受信機・・例えば9R4Jとか9R59、そして簡易メカフィルを使っている9R59D、JR310、FR50、また国際のメカフィルMF455-10Kの代表的な特性を書き込んでみました.如何でしょうか?これならわかり易いでしょう?SSB用のフィルタでCW受信するよりもずっと快適ですよ.
実際、簡易受信機に入れてみましたが、7MHzでも普通の時でしたら十分な選択度です.コンテストにでもなるとチョット厳しいかも知れませんが、コンテストマニアのお方はあんまり自作もされませんので数万円のメーカー製のフィルタでも買って下さい.QRPクラブのオンエアミーティングに参加する受信機なら適度な選択度だと思いました.みなさん自作機が多いので、けっこうズレて呼ばれることが多いのであまり狭いフィルタでは見逃します.あいつは耳が悪いなんて陰口を言われかねません.Hi Hi


CLF_455SB3_00.JPG SSB用3ポール世羅多フィルタの製作と評価
SSB用は、3素子型から実験してみました.これでどの程度の性能が得られるか興味があったからです.素子数が少ないと、切れは当然悪くなりますが、通過損失が少なくなるうえ、素子の選別も容易になるなど良い点もあります.用途によっては十分実用性があると思います.


CLF_455SB3_10.JPG さっそく測定してみましょう.横軸全体で10KHzです.中心周波数は444.7KHzという所です.ずいぶん『富士山型』ですが、3素子型ですからこんなものでしょう.通過帯域がCW用の約3倍に広がった関係で、平坦部がちゃんとあります.-6dB帯域幅は2.65KHzとなりました.

CLF_455SB3_20.JPG 横軸全体で20KHzです.低端の帯域外減衰量が不十分なため、-60dB帯域幅は計測できません.写真では-40dBの幅を示しています.通信機用としては-60dBで規定したいところですが、ラジオ程度なら十分かも知れません.11.14KHzありました.これは、約5KHz離れると40dB下がる特性という事ですから、普通のラジオなどと比べればずっと切れ味は良いのです.

CLF_455SB3_50.JPG 横軸全体で50KHzに広げてみました.低端の減衰がなだらかなのが気になりますが、逆に高端の傾斜は案外急ですし減衰量も十分とれています.実際受信機に使うのであれば、途中にIFTも入ることから、中心周波数から離れた所ではもっと減衰するようになります.案外使えるかも知れませんね.トランジスタラジオの改造用とか、LA1600を使った簡単なラジオにでも使ってみたら如何でしょうか?見かけ以上に実用性があるハズですよ.

CLF_455SB3_HIKAKU.JPG この3素子型も比較してみましょう.今一つかと思っていましたが、これを見ると結構使えそうな気もしませんか??比較相手が悪すぎるって??Hi Hi


CLF_455SB5_00.JPG SSB用5ポール世羅多フィルタの製作と評価
やはり3素子では十分な帯域外減衰が得られないので、SSB用も5素子型で構成してみました. もちろんCWの例にもあるようにずっと良くなるのは間違いありません.セラロックを使ったラダー型フィルタは作りやすさや性能など、総合的に見て5素子が一番良さそうに思います.あたりまえですが、素子数が多いフィルタを作るには、良い振動子が必要ということです.でも、5素子でも十分だと思いますよ.

CLF_455SB5_10.JPG 横軸全体で10KHzです.通過帯域がちょっと山形になっていますが、これはQが低い振動子なのでやむを得ないでしょう.しかし、マーカーで示したように-6dB帯域幅もしっかり取れています.2.57KHzありました.3素子型と同じ設計なのですが、一般に素子数が多くなると通過帯域幅は狭くなります.中心周波数は、444.5KHzでした.3素子型とは組が違うので少し周波数がシフトしましたが、実用上は問題ないでしょう.

CLF_455SB5_10_2.JPG -60dB帯域幅を測定しています.横軸全体は10KHzです.8.29KHzありました.シエープファクタは3.22です.まあまあと言った所かと思います.SSBジェネレータ用にはもう少し良いほうが望ましいのですが、これでも十分SSBが発生できそうな感じもします.受信用には、混んだバンドだともう少し切れが欲しいかもしれません.

CLF_455SB5_50.JPG 横軸全体で50KHzにしました.帯域外減衰量も十分ですし、変なスプリアスも見られません.どうしても低端側がなだらかになるのは、元々がLSB型ラダー型フィルタだからです.一般市販フィルタの特性図のように-60dBまでしか表示しなければ殆ど上下対称な特性と言っても良いくらいです.100dBもの範囲を見ているからアラが見えるのです.けして劣った特性ではありませんから自信持って使うことができると思いますよ.

CLF_455SB5_HIKAKU.JPG さっそく他のフィルタと比較してみましょう.如何でしょうか? むかしあれほど欲しがった国際電気のMF455-10K/CKとほとんど同じ特性です.この性能がたった100円の材料費で作れるのですからやっぱり自作のラダー型フィルタはやめられませんね.Hi Hi

CLF_TBL 世羅多フィルタ特性表
試作した世羅多フィルタの特性をまとめてみました.特に印象的だったことはSSB用フィルタの通過損失が少ないことです.個体差がありますが、多くても3dB程度のようでした.CW用の損失が大きめなのはセラフロックのΔf=fp-fsが広いうえ、もともとQが低い振動子を使っているためでしょう.損失が大きいとは言っても10dB以下でしたので、一般市販のCW用フィルタと同程度と言えます.フィルタ切換式の受信機の場合、SSBとCWでは多少の感度差が出ることになりますが、殆ど気にならないでしょう.全般的に見て、十分に実用性があり、安価なことも合わせて考えるとHF帯Low_Bandの自作シングルスーパーなどへの応用には最適なものと思います.

頒布メンバーによる試作結果(リンク集)
セラロックを纏めて購入し、50個ずつ16名の方に実費で頒布いたしました.以下は、皆さんのフィルタ試作結果です.


Part.2のまとめ
『世羅多フィルタ』パート2は如何だったでしょうか?ちょっと駆け足に、振動子の選別から、フィルタ製作まで進めました.実際、振動子の選別さえ終わってしまえば実に簡単に製作できます.結合容量などに誤差がなく、終端方法に誤りがなければ無調整で写真のような特性が得られるのです.このあたりが、ラティス型フィルタのように調整が必ず必要なフィルタと違ってアマチュア向きと言われる所以です.もし、思った特性が得られないようでしたら、最初の振動子の測定と選別に戻って確実に行なうのが良いでしょう.何しろ簡単なうえに安価なフィルタですから、ホントに使い物になるのか半信半疑かもしれません.でも使ってみますとメーカー製と変わりませんからもう一度ビックリされるはずです.そして市販フィルタが何であんなに高価なのか疑問を感じてしまうでしょう.さて、次回はフィルタ活用編です.幾つかの応用例を考えて見ましょう.真空管式受信機への応用法もあります.興味が湧いたら続けてどうぞ.


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End / おわり
続いて活用編に進む

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