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"Cerladder Filter" plus One.(1)

・・・ "Cerladder Filter" made of Lowcost Chinese Resonators.It's Good or Not ?
世羅多フィルタ・プラスワン(1):安価な中国製セラミック共振子を使っ作ってみる

(Ver.1.0a:Feb.23rd 2008+Ver.1.0c:Feb.24th 2008+Ver.1.1:Mar.1st 2008+Ver.1.2:Mar.4th 2008+Ver.1.3a:Mar.45th 2008)

Creladder Filter

Counter

written by Takahiro Kato JH1WBU/JA9TTT, Saitama JAPAN

http://ja9ttt.homedns.org/hamf/myexp/Cerladder_plus_One_01.html



このページの目的
日本製セラミック共振子(村田製作所の登録商品名:セラロック)のコンパチ品と思われる、中国製が通販で購入できます.出ものジャンク品ではなく正規品らしく、しかも200個500円と安価です.実際、世羅多フィルタに使えるのか試してみました.


関連のページ
世羅多フィルタの設計・製作・応用編には、以下のページがあります.


海外通販
既に海外通販はごく普通のことになっていて書籍や電子部品の購入に使っています.しかし、アジア地域からの利用経験はありませんでした.アジアだから危険とか、怪しいと決め付けるのは早計だと思いますが、物品の流通事情が未だ欧米より悪い、決済の信用度が低い、など理由から躊躇していました. 後にご紹介する通販ショップの存在は、かなり前から知っていました.しかし一回の注文あたり送料が3,000円かかるため、少量のお試しで様子を見るには負担が大きすぎます.セラミック共振子、水晶振動子など数が必要で、安価なものを買ってみたいとは思いつつ、躊躇していたのです.幸い共同購入のお誘いがあったので試すことができました.購入に関してお話しを伺うと、対応は迅速であり、梱包状態や送られてきた品に問題はなかったとのことです.

世羅多フィルタ
セラミック共振子をそろえて数個並べるだけで、通信機に必要な選択度に優れた狭帯域フィルタを自分で作ることができます.通信機を自作するときフィルタは費用の掛かる部分です.通信モードに合った既製品を数個購入するだけで数万円にもなります.セラミック共振子を使って自作した『世羅多フィルタ』を使えば、お小遣いの節約になるだけでなく、市販で買えない好みに合ったフィルタが手に入ります.安価なセラミック共振子を使うので、たいへん経済的です.しかし多くの人に着目された結果、国産セラミック共振子(セラロック)の安価な出ものはめっきり見なくなったそうです.もし中国製のセラミック共振子が同じように使えるなら、出ものジャンクと違って継続して供給されるはずです.


ご案内
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DSCN7913_S_China_Cer.JPG CRB455Eとは
写真は中国製のセラミック共振子CRB455Eです.正式なカタログは見つかりませんが、スペックらしいものは、以下の通りです.

簡単すぎて良くはわかりませんが、発振させるのが目的なら国産・村田製作所製とほとんど同じように使えるのではないでしょうか.しかし、我々が世羅多フィルタを作るとき気になる直列共振周波数fsや並列共振周波数fp、さらに端子間容量Cpはデータからは、まったくわかりません.そのほか、選別する際に重要なバラツキですが、発振させた時の周波数精度が±2KHzとあります.一番重要な直列共振周波数fsのバラツキはどのくらいなのか気になります.


DSCN7888_S_235.JPG CRB455Eの評価
まずは世羅多フィルタを作るための評価を行ないます.購入した200個からランダムに50個取り出し、番号を振ります.その後、ネットワーク・アナライザや容量計を使って必要なデータを実測します.簡易なラダー型フィルタの設計では不要なのですが、内部定数も計算しておきます.写真は共振特性を測定している様子です.実測結果に基づいて、データに纏めます.次項に纏めた図はエクセルを使って集計した結果です.統計手法に基づき各測定値の平均値やバラツキを計算した結果は選別表の下の部分にあります.


CSE455E_CRB455_Equ.jpg 村田製作所製と比較してみると:
図は、等価回路に纏めて比較してみました.
実測値の集計結果や等価回路図から言えることは・・・.
  1. バラツキはやや大きめである.
  2. 無負荷Qは少し低い(3/4くらい)ようである.
・・・と言ったところでしょうか.どうやら際立った差はないようです.世羅多フィルタの設計に重要なΔf=fp-fsは、19.7KHz、端子間容量Cpの平均値はCp=286pFでした.これらの数値を使ってフィルタの設計をします.なお、端子間容量Cpですが、このセラミック共振子に限って、充放電型の容量測定器(テスタ付属の容量計測機能など、簡易な測定器には多い)では、うまく測定できないようです.フィルタの製作に支障はないはずですが、DC的なリーク電流が流れるのかも知れません.正しい測定には交流式のLCRブリッジを使う必要がありました.市販品としてはDELICAのミニブリッジなどが適しているでしょう.


CRB455_Excel_TBLS.JPG フィルタ用共振子の選別
図は、セラミック共振子の選別表です.良い特性の世羅多フィルタを作るには、直列共振周波数fsをそろえるのが肝心です.フィルタを構成する共振子のあいだのfsバラツキ(偏差)は通過帯域幅Bwの10%以内を希望します.
いま設計するフィルタは1KHz幅のCW用と2.7KHzのSSB用です.従ってCW用の組は100Hz以内、SSB用の組は270Hz以内のバラツキに入っているものを選びます.

これもエクセルの機能を使えば簡単です.図のように、まずはfsの項で低いほうから順に並べ替えを行います.そのあと、3行下、5行下、7行下の値との差を計算させます.このようにすれば、3個間、5個間、7個間の差が一目でわかり、所望の個数の間で周波数差が少ないものをピックアップするのが容易です.こうした作業で、無駄なく良く揃った共振子の選別ができ、良いフィルタが最大限作れるわけです.5素子のフィルタには30個ほどから選別すれば十分良い組合わせを選別できそうです.

上で中国製のセラミック共振子はバラツキが大きいようだと書きました.どうやら、数個大きく外れるものが含まれたのでそうなったようです.実際には良い組み合わせが多数作れたので、フィルタ製作に十分だとわかります.村田製作所製のセラロックで作るのと違わないようです.

【備考】セラミック共振子の簡単な選別方法について
セラミック共振子の選別は、直列共振周波数fsを直接測定して行なうのがベストです.そうは言っても、そのために高価な計測器を使うのでは、安価な部品活用の趣旨に反しています.もちろん、そうした計測器を利用できるなら大いに活用すべきです.しかし、『What's the "Cerladder Filter" ? (Part.2)』にある、『発振させてセラミック振動子を選別する方法』で行なっても十分です.周波数カウンタで読取るだけなので、むしろ世羅多フィルタを作る目的には効率的で良い方法です.実測して得た発振周波数で一覧表を作り、同様に並べ替えて選別します.発振法で選別して作ったフィルタも良好な結果が得られるので心配いりません.安価で手軽な手段で作れることが世羅多フィルタに限らず、ラダー型フィルタのメリットですから簡単な方法が推奨されます.


China_Ceramic_Ladder.jpg 世羅多フィルタの設計
Δf=19.7KHzとCp=286pFを使い、図のようなCW用SSB用のフィルタを設計してみました. なるべく簡単に製作できるように、標準値のコンデンサで間に合わせるようにしてあります.
計算の結果、数個並列にしないと構成できない容量値になることもあります.最初は帯域幅を決めて計算しますが、その結果は端数の付いたコンデンサ値になるはずです.

コンデンサを複数個並列にして、正確に計算値を『合成』しても良いのですが、普通その必要はありません.一つに共振子のバラツキがあるからです.また、セラミック共振子のように、相対的にQの低い共振子で作ったフィルタは、通過帯域のエッジが丸くなり、帯域幅が不正確になるからです.従って、計算で得られたコンデンサ値を少々丸めてしまっても大勢に影響はないのです.

まずは、設計帯域幅からコンデンサの値を求めたら、次にその値になるべく近い標準値のコンデンサを選びます.だいたい、計算値の前後10%のコンデンサを選びます.標準値のコンデンサについては、当サイトにあるRとCの選び方/E系列についてを参照して下さい.1個のコンデンサで計算値の前後10%の範囲に入らなければ、2個組合せれば殆どうまく行くはずです.そのようにして求めたコンデンサの値から、今度は逆算して通過帯域幅Bwを計算します.その結果が自分の意図している通過帯域幅と大差なければ、きりの良い値で製作すれば良いのです.

なお、実際にはコンデンサにも誤差やバラツキがあります.良いフィルタを作るためには、コンデンサも実測して選別するのが最良です.選別する際のヒントですが、ピッタリの値を見付けるのではなく、良く揃ったものを選べば良いのです.  例えば、表示が1,000pFのコンデンサを使うつもりで、実測したら、950pFのものならたくさんあったが、丁度1,000pFはごく少なかったとします. その時は迷わず、一番たくさんある950pFを必要な数だけ揃えれば良いです. さらに念のためにそうして実測して選んだコンデンサの値で、通過帯域幅Bwを逆算して確認しておけば完璧です.

殆どの場合、こうして選んだコンデンサを使えば十分でしょう.図の例では、0.02μFと言うあまり標準的でないコンデンサが使ってありますが、これは手持ちの都合で、一般的には0.022μFでも良い訳です.このように製作しやすく設計することもとても大切なことです.


ラダーフィルタ計算機
測定器掲示板でおなじみのJE6LVE/3高橋さんがJavaScriptで動作するラダーフィルタ用計算機を製作されました.実測で求めた(セラミックor水晶)振動子の定数を入れることで、希望のフィルタが簡単に計算できるので便利です.設計に必要な情報は、(1)Δf=fp-fs、(2)端子間容量Cs、(3)振動子の直列共振周波数(概略値で良い)、そして(4)希望するフィルタの通過帯域幅Bwです.これで、結合容量Cc、終端容量Ct、終端インピーダンスZtが求まります.結合容量Ccから帯域幅Bwを逆算する機能もあるので標準値のコンデンサへの置換え検討にも便利です.ぜひ利用して下さい.
計算機はこちら:==>ラダーフィルタ計算機(別のウインドウで開きます)


DSCN7966S.JPG 世羅多フィルタの製作(1)
手間の掛かる部品選別が終われば、いよいよ製作です.回路は簡単ですから、手間のかかる部品選別が済めば80%は出来上がったようなものです.製作は、いつものように生プリント基板をカットしてその上に組立てました.セラミック共振子は、両面テープで貼り付けて場所を固定してから配線すると楽です.ここでは写真のような構造に作りました.このの構造は測定には便利ですが、他の回路と合わせて実装する場合は不便かも知れません.用途に応じた作り方をすればよいでしょう.受信機回路と一緒にユニバーサル基板上に実装しても良いと思います.コンデンサは、容量が大きくなるCW用(写真のもの)は、マイラフィルムコンデンサを使いました.小型で使い易く、安価なので良いコンデンサです.セラミックコンデンサでも良いのですが、0.02μFと言った大きな容量のものは、『高誘電率系セラミックコンデンサ』である場合が殆どでしょう.高誘電率系はフィルタのような容量精度と温度安定度が重要な意味を持つ用途に使ってはいけません.バイパスコンデンサ用と思って下さい.なお、SSB用の方は、積層セラミックコンデンサを使って作りました.同じセラミックコンデンサでも『温度補償系セラミックコンデンサ』と言うものを使っています.

世羅多フィルタの製作(2)
DSCN7979_S_EXV_01.JPG 写真のように完成しました.何れも5素子で、右上がCW用(選別表の赤の組使用)、左下がSSB用(選別表の緑の組使用)です.ここではテストですので独立したユニットとして製作しました.他の回路と一緒に実装する場合も、入力端子と出力端子が極力接近しないようなレイアウトして下さい.このフィルタの帯域外減衰は極めて優秀で、市販のセラミックフィルタ以上の良い特性です.おおよそ入出力の間で、通過帯域外の信号は100dB以上(即ち電圧で言えば10万分の1以下)も減衰します.しかし、ほんのわずかでも入出力間の結合が起これば特性は台無しになってしまいます.どうしても止むを得ない場合は、(静電)シールドするなど考慮して下さい.実際の使用時には、静電的な入出力間結合以外に、アースラインを共通としたコモンモード結合が起こらぬようレイアウトには十分な注意が必要です.当サイトの世羅多フィルタ・活用編にある回路では、設計によって問題が起こりにくい回路・配線になるよう予めの工夫がしてあります.


DSCN7999_CCLF455CW5_01_10K.JPG フィルタの測定評価・CW用
まず、CW用です.設計通過帯域幅Bw=1060Hzですが、実測ではBw(-6dB)=822Hzになりました.これは、共振子のQuが低いので、通貨帯域の肩が丸くなった『帯域幅減少』の結果でしょう.村田製のセラミック共振子を使った例でもほぼ同様の傾向がありました.-60dB/-6dBによるシェープファクタは、4.81でした.中心周波数は、439.408KHzです.これは、使用するセラミック共振子の組によっても少し変わりす.なお、帯域外減衰は完全には測定しきれていませんが、90dB以上あるので優秀です.CW用の終端インピーダンスは、設計値では36Ωですが、やや高めの方が特性が良くなるケースが多く、ここでは50Ωで評価しました.その状態での通過損失は約11dBでした.特に狭帯域になるCW用フィルタは、帯域幅が広いSSB用と比べるとどうしても損失が大きめになります.これは、世羅多フィルタに限らず、CollinsのMF(メカフィル)や一般的なクリスタル・フィルタでも同様で、このCW用・世羅多フィルタより通過損失が大きなフィルタもたくさんあります.

DSCN8011_CCLF455CW5_01_GD2K.JPG 通過帯域をクローズアップして観測しています.黄色のトレースが振幅特性です.通過帯域に平坦部がないのは、使ったセラミック共振子のQが相対的に低いからです.しかしCW用フィルタは、このような山形の特性で全く支障ありません.受信している時にも感じることはないでしょう.なお、グリーンのトレースは群遅延特性です.但し、CW用フィルタは単一のキャリヤを扱うだけなので群遅延が問題になることはないでしょう.


DSCN8001_CCLF455SB5_01_20K.JPG フィルタの測定評価・SSB用
続いてSSB用です.設計通過帯域幅Bw=2990Hzですが、実測ではBw=2479HZとなりました.設計値との乖離が大きいようにも感じますが、右肩がややダラ下がりなためでしょう。共振子のQの関係で通過帯域の肩が丸くなりますが、SSB用フィルタとしてはまずまずといったところでしょう.-60dB/-6dBによるシェープファクタは、3.98でした.中心周波数は、440.050KHzでした.帯域外減衰は90dB以上あるので十分なものです.設計終端インピーダンスは113Ωですので、測定用に62Ωを直列にしました.従って直列抵抗のロスが加わるのでフィルタ自身の通過損失は直接計測できませんが、おおよそ3〜4dBのようでした。SSB用フィルタとして常識的な値です.実際の使用時には、なるべく回路設計でインピーダンスを合わせ、抵抗でつじつまを合わせる方法は使わないほうが有利です.

DSCN8008_CCLF455SB5_01_GD5K.JPG 通過帯域をクローズアップして観測しています.黄色のトレースは振幅特性で、ほかにグリーンのトレースで群遅延特性も合わせて示しました.群遅延特性は、絶対値の大小がフィルタの優劣を示すものではありません.通過帯域内でなるべく平坦に近いフィルタほど良好です.SSB用の場合は音色などの面から群遅延特性が問題になることがあります.また、FSK/PSKなどのデータ通信に使うフィルタは特に重要です.音声用ではそれほどシビアでは無いはずなのです.また、切れを優先したフィルタはどんなものでも通過帯域のエッジで乱れるのは普通です.しかし、通過帯域中央部で群遅延特性が大きく変化するフィルタは他の特性も含めてPoorな場合が多いようです.その結果、音色も悪いことがあります. これからのフィルタ評価では、群遅延特性も合わせて見るのも良いのかも知れません.なお、群遅延測定はアパーチャを掃引幅の10%に設定しています.

以上のように十分良好な特性の世羅多フィルタができました.国産のセラミック共振子の場合と同じように作れます.


エピローグ
かつて売っていた現品限りの通販ショップの値段を知った人は、他のお店の値はとても高く感じてしまったようです.国産のセラミック共振子各種が秋葉原の店頭や通販で3個100円くらいで売っています.その値段でさえ十分お買い得だと思うのです.例えば、1,000円分買ってくれば、少なくともCW用とSSB用の良いフィルタが2個は作れます.うまくすれば3〜4個が可能でしょう.既製品のフィルタは500円や1,000円では買えませんから、十分お買い得なのです.しかし、安いものを一度見てしまうとダメですね.では、安価な中国製はいかがでしょう? 安いのは良いのですが送料が掛かるので、一人で少量頼んだら割りが合いません。やはり数名で分担負担すれば経済的です.ローカルさんとの話題作りにも良さそうです.しかし、その前提として中国製のセラミック共振子で世羅多フィルタが使れなくてはなりません.今回、チャンスがあって評価してみたところ十分良いフィルタが作れたのは幸いでした.電子部品まで中国製に頼るのは気が重いのですが、時代の趨勢でやむを得ないようです.安価な部品を活用する知恵の方は『Made in Janan』で行きたいですね.Hi

中国製のセラミック共振子の入手先:==AI-HK社 CRB455Eは200個500円です.

なお、当サイトの記述は海外通販の安全性、およびあなたが購入した部品・製品の品質や性能を保証するものではありません.このページの内容は2008年2月に共同購入した現品を評価した一例を示したものです.購入は各自の責任において行なって下さい.


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End / おわり
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