■このページの目的
真空管式受信機用の高周波コイルとしてポピュラーだったトリオのSシリーズコイルキットを評価します.また、Sシリーズの諸元に基づき代替品として同等以上のコイルを設計しスーパー用コイルの完全自作を目指します.
■TRIO Sシーズコイル
アマチュア局用受信機が真空管で自作されていた時代がありました.1950年代から60年代後半まででしょう.真空管式受信機の製作に無くてはならない存在がコイルです.コイルは適当なボビン(巻枠)と電線さえあれば比較的容易に製作できる部品です.戦前のフロンティア時代のアマチュア達はそうして受信機を製作していました.しかし、手間がかかり測定器にも乏しいアマチュアにとって煩わしい部品として敬遠されるのが常でした.戦後、短波の解禁とともにオールウエーブ受信機の自作熱が高まった時期があります.ラジオの自作もごく一般的でした.そのような状況にあって、ラジオ用コイルキットは多くのメーカーから発売されます.規格統一などを経て、最後まで残ったのはSTAR、TRIO、そして松下電器のコイルキットでした.STARがどちらかといえばラジオ用に熱心だったのに対し、TRIOは自社製のオールウエーブ受信機を販売していたこともあり、アマチュア無線家に好まれる製品が多かったようです.430pFのバリコンと組合せて、中波帯から短波を広くカバーするシリーズや2セクションバリコンを使うシリーズなど幅広い品ぞろえがありました.
■受信機の自作とコイル
今でこそアマチュア局の設備の殆どすべてが既製品で揃いますが、かつてはラジオ用の部品を使って自作したり、進駐軍放出物資の通信機を改造して使うのがあたり前の姿でした。60年代に電話級(現4級)の資格制度ができ、また講習会の開催が頻繁になった結果、爆発的にハム局が増加しました.これら初級HAMは戦後まもなく開局された先輩HAMとは違い、自作のスキルをあまり持たない人たちでした.当然既製品のニーズが高まります.Sシリーズコイルはそうした既製品万能の時代に突入するまでのアマチュア達の自作受信機を支えた部品でした.スーパーヘテロダイン受信機が常識となる以前、O-V-1やO-V-2が標準的な受信機だった頃はコイルの製作も簡単でした。必要なコイルも1個か2個ですし、短波帯なら巻数も極少なくて済みます.また、組立て後にコイルの調整と言う作業がつきまとったので既製コイルの出る余地は少なかったのです.コイルの自作も簡単で、適当に巻いたり解いたりという『カットアンドトライ』手法が通用しました.不良真空管のベース(大抵はST管)を外し、O-V-1用アンテナコイルを巻いた経験をお持ちの方も多いはずです.しかし、スーパーヘテロダイン受信機になると、トラッキングの問題がつきまとうため、『コイルの設計』と言う概念が必要になります.この設計は実際にやってみると意外に難しく、経験やノウハウに基づいて試行錯誤で計算を繰り返す必要があります.ソロバンと計算尺の時代には誰でも簡単にという訳には行かなかったでしょう.さらに、計算できたとしても、測定器も満足になかった時代なので製作も困難だったはずです.カットアンドトライで無手勝流に追込めるような代物ではありません.このようなアマチュアの便をはかるために登場したのがコイルキットでした.このコイルと統一規格のバリコンを組合せれば、面倒な計算や製作・調整の過程を経ずに再現性良く受信機を作ることが出来たのです.
JA6CYA福田OMに430pFの3連バリコンと交換していただいたTRIOのSBコイルです.福田OMには合わせてTRIOのT-21通信機用IFTも頂きました.改めて御礼いたします.Sシーズコイルは、max430pFバリコン用のSA(中波帯)、SB(3.5〜10MHz)、SC(6〜18MHz)、SD(8〜23MHz)、SE(1.5〜4.4MHz)があります。その他に2セクションと言う短波帯受信機に適したバリコンに合わせたシリーズ(S-H〜S-J)がありました.写真はRF付きで3本組になった物で、各SシリーズにはRFナシ2本組もありました.RF付きはどちらかといえば高性能な通信型受信機向けのもので、昔のHAM局用標準的受信機であった高一中二の製作に使うものです。RFナシは短波付き5球スーパーの自作あるいは、家庭用ラジオを短波付きに改造するためのものでしょう.
箱を開けた瞬間、懐かしい記憶が蘇ってきました.受信機用コイルは自作できないと思っていたころ何個か買い求めました.まさしくその頃の姿です.薄い紙に印刷されたテクニカルデータシートと一緒に包装されています。JA6CYA福田OMが大切に保管されていたのでしょう.
長い年月の間にテクニカルデータシートの外側が黄ばんでいましたが、コイルは傷みもなく、奇麗な状態で保管されておりました.
入っていたコイルを並べてみました.一番右にあるのは、パッディングコンデンサと言うもので、等容量バリコンを使う時に、トラッキングをとるのに使います.このコンデンサは鋳込みマイカと言う種類で、昔はマイカコンデンサと言えば皆この形でした.最近のディップドマイカより防湿性能が劣っており、年数が経過すると少々怪くなります。絶縁抵抗や容量を確認してから使うほうが良いでしょう.コイルはどれも目視検査では問題ないように見えます.
各コイルを詳しく見ましょう.これから製作する代替品はトロイダルコアを使いますが、全く同じコイルを作りたい方もあるかと思います.諸元を書いて置きます.ボビンはベークライト製で、外径16mm、長さは40mmです.コアは入っていません.(写真の下の図も参照して下さい)
巻数の少ない方が、アンテナを接続する1次側です。端子には、AとEの記号が書いてあります.これは常識ですが、E端子に引きだされている方が隣接するコイルに近い側になります.巻数は6.5回、巻幅は1.6mmで、インダクタンスは1.56μHありました.インダクタンスの精度は要求されません.線材はリッツ線でしょう.
巻数の多いほうが真空管のグリッド側で、2次側です.こちらが同調側です.GとEの記号が書いてあります.同じく、E端子側が隣接するコイルに近い方になります.巻数は16.5回、巻幅は7.5mmで、インダクタンスは5.1μHです.線材はリッツ線でしょう.この巻線はトラッキング精度を上げるため、インダクタンスは精度が要求されます.こちらの巻線には、並列にトリマコンデンサが付いています.このトリマはマイカトリマと言われるものです.入手が難しいので、セラミックトリマで代替するのが良いでしょう.最大容量は50pFのようです.(約20pFに調整されていました)
リッツ線は、絶縁被覆された複数の細線を捩りあわせて作られた電線です.表皮効果による高周波抵抗分を減らし、Qの低下を防ぐのが目的です.すっかり姿を消したかと思っていましたが、最近では高精細度CRTの偏向コイルに使われているそうです.(入手に困ったらパソコン用モニタをバラすと良さそうですが、他の部品の処理に困りそうですね)
このコイルはRFコイルと言われるもので、高周波増幅段と周波数変換段の間に入るものです. ボビンはベークライト製で、外径16mm、長さは40mmです.コアは入っていません.空芯です.コイルは複巻になっています。両巻線の間隔は1.8mmです.(写真の下の図も参照して下さい)
緑色の巻線が、高周波増幅管のプレート側に接続する1次側です。端子には、PとBの記号が書いてあります.これは常識ですが、B端子に引きだされている方が隣接するコイルに近い側になります.巻数は14回、巻幅は2.8mmで、インダクタンスは6.15μHありました.インダクタンスの精度は要求されません.線材は単なるポリウレタン線の単線です.変な共振が出ないようにプレート側はあまりQを上げたくないのでしょう.
リッツ線で巻いてある方が真空管のグリッド側で、2次側です.こちらが同調側です.GとEの記号が書いてあります.同じく、E端子側が隣接するコイルに近い方になります.巻数は16.5回、巻幅は7.5mmで、インダクタンスは5.1μHです.この巻線はトラッキング精度を上げるため、インダクタンスは精度が要求されます.こちらの巻線には、並列にトリマコンデンサが付いています.(約20pFに調整されていました)
このコイルはOSCコイルと言われるもので、局部発振回路(局発)に使用します. ボビンはベークライト製で、外径12mm、長さは40mmです.コア入りで、インダクタンスの可変ができます.コイルは単巻ですが、カソードタップ・ハートレー型発振回路用にタップが出ています.(写真の下の図も参照して下さい)
コイルは単巻で、E、K、Gの端子があります。巻数は15.5回、巻幅は5.5mmです。インダクタンスはコアの出し入れで3.6〜5.3μH可変出来ます.初期状態では4.5μHに調整してありました.トラッキング調整のためにインダクタンスが可変できるように製作します.線材はリッツ線のようです.カソードタップKは、アース側から3.25回の場所から引きだされています.アース側からみて、全巻数の20%くらいの場所になります.巻線には、並列にトリマコンデンサが付いています.(約20pFに調整されていました)
パッディング・コンデンサは3000pFのマイカコンデンサです.耐電圧1000V、誤差±5%のものが付属しています.このコンデンサは、周波数安定度に影響するので温度係数が小さいものが良いでしょう.誤差があまり大きいとトラッキングエラーの原因になるのでなるべく±5%以内の物が良いでしょう.耐電圧は100Vもあれば良いはずです.ディップドマイカ、スチロールコンデンサ(スチコン)などが適当です.
コイルに付属してきた『TRIO TECHNICAL DATA SHEET NO.16』です.Sシリーズ・コイルの仕様、応用回路例、調整方法が記載されたなかなか役に立つものです。歳月の経過でやや変色していましたが、スキャナで取込んでみました.真空管式受信機を自作するときに参考資料として役立つかも知れません.
TRIO TECHNICAL DATA SHEET NO.16(ファイルサイズ2.2MB)(頒布禁止・個人的利用に限る)
■S-Bコイル同等品の自作
実際にS-Bコイルの構造を観察し、さらに電気的特性を測定しました。写真は測定している様子です.このようなコイルの評価と測定にはQメーターが最適です.Qメーターは少々レトロな測定器で、今でも製造しているのは三田無線研究所(DELICA)くらいのものです.かつてはhp社(現・アジレント)でも製造していました.写真はhp4342Aです.とてもアナログな測定器です.コイルに興味を持ち、詳しく研究されるならQメーターは強力な武器になります.実際に共振させて測定しますから、同調回路の設計と検証にも最適です.横河電気(YEW)や目黒電波測器の中古品を時々目にします。しかし、中古を探すより、コンパクトで使い易いDELICA製がお薦めです.補助コイルはめったに使いませんから必要ないでしょう.
1次側、2次側の結合度を検討している様子です.S-B Coilはどのような条件で設計されていたのか興味があります.Qメーターではコイルのインダクタンス、Qがわかるほか、結合係数kなども計算で求まります.また、共振インピーダンスも実際に使用周波数で具体的に求めることができます.(直読計器ではないので、基礎的な電子回路の知識をもとに計算で求めます)
さっそく製作したTRIO S-B-ANTコイルの同等品です.
コアはT-50-#2(赤色)を使います.A-E巻線は、AWG #30と言うサイズのテフロン・ワイヤーラッピング電線です.(写真では白い被覆電線)7回巻でS-Bコイルと同等のインピーダンス・マッチング条件が得られます.同調側のG-E巻線は、φ0.4mmポリウレタン電線(UEW)を29回密着巻します.こちらの巻線は、トラッキング性能に影響するので、なるべく精度を良くする必要があります.精度良く合わせる必要があるのは、インダクタンスですが、むしろRFコイル(G-E巻線=同調側)と同じインダクタンスになるようにすることが大切です.Lメーターがあれば簡単ですが、発振回路を作って周波数カウンタで調整するのが実際的でしょうか.DIPメータで発振させて周波数を読むと言う方法もあります.しかし、同一のお店で同時に購入したコアをANT、RFコイルの両方に使えば十分な性能が得られる筈です.
こちらはTRIO S-B-RFコイルの同等品です.
コアはT-50-#2(赤色)を使います.P-B巻線は、AWG #30と言うサイズのテフロン・ワイヤーラッピング電線です.(写真では赤い被覆電線)11回巻でS-Bコイルと同等のインピーダンス・マッチング条件が得られます.同調側のG-E巻線は、φ0.4mmポリウレタン電線(UEW)を29回密着巻します.こちらの巻線は、トラッキング性能に影響するので、なるべく精度を良くする必要があります.精度良く合わせる必要があるのは、インダクタンスですが、むしろANTコイル(G-E巻線=同調側)と同じインダクタンスになるようにすることが大切です.しかし、同一のお店で同時に購入したコアをANT、RFコイルの両方に使えば十分な性能が得られる筈です.
こちらはTRIO S-B-OSCコイルの同等品です.
色々迷った結果、東光の10Kボビンに巻くことにしました.インダクタンスを加減できる必要があるからです.インダクタンスを固定し、パッディングコンデンサで調整すると言う方法もあり、そうすればここもトロイダルコアにすることが可能です.しかし、オリジナルのトラッキング設計条件が厳密にはわからないので、インダクタンス可変方式にしました.G-E巻線は、φ0.16mmポリウレタン電線(UEW)を20回巻きます.カソードタップK端子は、E側から4回目にします.巻方ですが、10Kボビンには巻ミゾが3段あります.各ミゾに足に近い側から9回+9回+2回と言うように巻いて下さい.いわゆる10Kボビンにも、使ってあるコアによって種々のものが出回っています.コアを中心の位置にしたときに、概略4.5μHのインダクタンスが得られる巻数を最初に求め、カソードタップの位置は全巻数の10〜20%の所から出せば良いです.お手持ちのコアを十分活用できます.この10Kボビンに巻いたコイルのQは少々低くなりました.しかし、実際にはこの程度のQでも問題はないようです.Qが低めであった原因は、コア材がVHF向きと言う10Kボビンを使用したからです.これは、周波数安定度を重視したためで、μの大きなコアを使えばHihg-Q化できますが、そうしたコアは温度係数も大きいので発振回路には不適当です.現状のままでも十分に発振できる性能が得られていますのでこれで問題はないようです.何れにしても、OSCコイルは周波数安定度に影響しますから、温度係数の小さいコアを使ったボビンに巻くことをお薦めします.ただ、真空管時代にはあれほど売っていたコア入りボビンはもう手に入らないので、トランジスタ用を活用するしかなさそうです.
完成したコイルの周波数対無負荷Q(Qu)特性のグラフです.トロイダルコアに巻いたコイルは、TRIOのS-BコイルよりQが高く、優秀であることがわかります.使い方にもよりますが、標準的な回路で使うなら十分その性能が発揮されるでしょう.磁束の漏れが少ないことから、コイルの配置はずっと楽になります.シールドも簡単でしょう.万一、RF段の発振があるようでしたらコイルのP端子から真空管のプレートへ行く線の間に1KΩ程度の抵抗を入れて下さい.イメージ比はオリジナルのコイルよりも改善されます.そう言う意味では、完全な代替品ではなく、同じような高性能コイルを作ったと言うことになりますね.
●Sシリーズコイルの自作について
むかしのラジオ少年をターゲットにしたラジオの製作読本が発売され、人気を呼んでいます.しかし、すでに真空管ラジオ用部品は枯渇してしまいました.新規に生産すればある程度の需要は見込めると思いますが、製造を始めるほどのマーケットは期待できないでしょう.従って、非常に高値で取引されている昔の部品に手を出すか、完全な自作を目指す以外に方法はないのが現実です.幸いなことに、昔のアマチュアが見たことも無かったような計測器が非常に安価で手に入ります.コイルの設計データさえ作ることが出来れば、十分に自作が可能な環境にあると言えます.コイルは昔ながらの空芯ボビンに巻くのも良いですし、今風のトロイダルコアで製作しても良いと思います.以下には、TRIO-Sシリーズコイルの完全自作を目指して計算した結果と、その使い方を解説します.図は、標準的なスーパーヘテロダインのコンバーター回路を示します.スーパー受信機の設計ではトラッキングの設計は極めて重要です.しかし、実際にやってみると最も厄介で尚且つ面倒なものがトラッキング回路の設計でもあります.アンテナコイル、局発コイル、パッディング・コンデンサをSシリーズになるべく近似になるように設計してみました.コンデンサは容量計で計測し、コイルはグリッド・ディップ・メータ(GDM)や周波数カウンタを駆使して巻いて行けば目的としたコイルキットを手作りできます.(Oct.9th 2004)
●表の使い方・読み方
以下に示す設計表と回路図との対応を説明しています.表のアンテナコイル・LA、局発コイル・LO、パッディングコンデンサPCは回路の何処に相当するかを示しています.f1、f2、f3はトラッキング調整を行なう周波数です.その下段にその時のバリコンの容量が示されています.実際に製作し、トラッキング調整を行なう際に使用します.バリコンは一般的な430pFを想定してありますが、回転角度と容量変化の関係は調べておきます.昔のアルプス製バリコンにはこの関係を示すグラフが付いていました.ジャンクのバリコンを使うときは容量計で調べれば良いでしょう.表中のCSA、CSOはアンテナ回路および局発回路のストレー容量の合算値を表します.この容量にはトラッキング調整のための半固定コンデンサの容量も含めて下さい.この半固定コンデンサは、一般的には最大容量30pF〜50pFの物を使えば良いです.パッディング・コンデンサPCも可変型として3点調整を行なう方法もありますが、一般的には2点調整(f1とf3でトラッキング調整)で十分です.3点トラッキング調整は良く理解していないと難しいですし、また固定コンデンサの方が安定です.パッディングコンデンサには固定コンデンサを使うのをお薦めします.なお、2バンド、3バンドのラジオを製作することも可能ですが、スイッチまでに配線長が長くなるためストレー容量が多くなります.上手にやらないと調整できなくなることがありますので、部品配置と配線を検討して下さい.2バンド程度ならあまり心配はいらないと思います.
S-Series Coil Design Table
トリオSシリーズコイルの同等品を製作するための数表です.自分で計算して設計してみたものです.トリオが前提とした設計条件は不明なので完全に同じとは言い切れませんが、ほとんど差は無い筈です.以下の数表は一般的かつ現実的と思われる条件によって設計されています.出来上がった表は一見何気ないですが、トラッキングエラーを少なく保ち、必要な受信範囲を得る設計はなかなか難しいものです.設計手法を示した参考資料も今ではあまり見つかりません.下表がコイルの自作に役立つことを期待します.
Type
fL
fH
f1
f2
f3
TRIO-PC
LA
LO
PC
f-min
f-max
CV1
CV2
CV3
(種類)
CSA
CSO
(PC')
SA
550KHZ
1600KHz
600KHz
990KHz
1400KHz
200〜600pF
199.8uH
92.5uH
496.6pF
520KHz
1610KHz
315pF
92.4pF
27.8pF
(半固定C)
36.9pF
53.3pF
(497pF)
SB
3.5MHz
10.0MHz
4MHz
6.5MHz
9MHz
3000pF
4.47uH
3.89uH
2968pF
3.45MHz
10.05MHz
310pF
90.0pF
25.9pF
(固定C)
44.1pF
47.2pF
(2970pF)
SC
6.0MHz
18MHz
6MHz
11.0MHz
16MHz
4000pF
1.55uH
1.43uH
5267pF
5.9MHz
18.1MHz
416pF
97.0pF
25.9pF
(固定C)
38pF
40pF
(5260pF)
SD
8.0MHz
23MHz
8MHz
14.0MHz
20MHz
6000pF
0.85uH
0.80uH
7368pF
7.9MHz
23.1MHz
422pF
108pF
30.9pF
(固定C)
43.6pF
45.2pF
(7400pF)
SE
1.5MHz
4.4MHz
1.5MHz
2.75MHz
4MHz
1250pF
25.6uH
18.8uH
1323pF
1.45MHz
4.45MHz
401pF
93.0pF
23.8pF
(固定C)
37.9pF
44.4pF
(1330pF)
SG
11.0MHz
30.0MHz
11.0MHz 20.5MHz 30.0MHz
(付属せず)
0.52uH
0.50uH
8376pF
10.28MHz
32.6MHz
365pF
86.1pF
19.7pF
(使用せず)
34.4pF
35.2pF
(8380pF)
(注意)上表のWeb参照および引用は可ですが、引用元を明らかにして下さい.なお、改善のため修正・変更することがあります.
注意事項:
- バリコンは、最少容量Cmin=約10pF〜最大容量Cmax=430pFの等容量2連の標準規格品を使用する.
- fL、fHはそれぞれ保証受信範囲の下端と上端で、実際には上下にマージンが取ってある.
- 赤字で示したf-min、f-maxは、マージンを見た最大受信範囲.(設計時に使用)
- f1、f2、f3はトラッキング調整周波数。下段の容量は、その時のバリコンの実容量値.
- 上記第4項の実容量値とバリコンの容量曲線からf1、f2、f3のダイヤル上の位置がわかる.
- TRIO-PC欄はトリオ製コイルに付属のパッディング・コンデンサの容量と種類.(参考)
- LAはアンテナコイル、LOは局発コイルのインダクタンス。その下段は並列容量値.
- 上記の並列容量値には回路のストレー容量と調整用トリマ・コンデンサの容量が含まれる.
- バリコンの最少容量値は計算に入っているので上記並列容量値に考慮する必要はない.
- トリオ付属のパッディング・コンデンサとの違いは、受信マージンの取り方の差.
- カッコ内のPC値は2個のコンデンサ並列で得られる近似容量のコンデンサを示す.
- PCは固定値とし、LAとLOにコア入りコイルを使い、f1、f3の2点調整するのが容易.
- 真空管式ラジオの場合、ストレー容量として30pF程度見込む必要がある.
- トラッキングレス・バリコン(中波専用の異容量2連VC)は使えません.
- SG(11〜30MHz)では、実用上パディング・コンデンサは不要な場合が多い.
●コイルの製作について
初心者にとっては、直径いくつのボビンにφ何mmの線を何回巻くと言う情報の方が有難いかもしれません.しかし、それだと材料が固定されてしまいます.インダクタンスで示すのは不親切なようですが、手近な材料を工夫して製作することができます.インダクタンスを計測する必要がありますが、一般市販のLメータは不適当です.(高周波用にできた物を除く)グリッド・ディップ・メータ(GDM)となるべく正確な容量のコンデンサを使い、共振周波数を測定して計算から求めるのが良いです.DIYショップでアクリル・パイプや塩ビ管を入手したり、ラップ・フィルムの紙芯(紙管)を使うなど、様々な材料で製作できます.なお、トロイダルコアに巻く場合は、後からインダクタンスの調整がやりにくいので、なるべく正確に作り、少しの調整で済むようにします.局発コイルはある程度広範囲の調整ができたほうが良いのでなるべくコア入りボビンを使って下さい.受信機は小信号回路ですからトランジスタ用のボビンでも十分に使えます.標準的な5球スーパーのコイルは、高い電圧が加わる場所に使われていないので、耐電圧も要しません.トランジスタ用の部品でも全く問題ありません.各自工夫してオリジナル・コイルでスーパー・ヘテロダイン・ラジオ(5球スーパー)の製作を楽しんで下さい.具体的製作手法は前半のS-Bコイル同等品の製作例などを参考にして下さい.表はFETやICと言った半導体を使ったラジオのコイルの製作にも使えるのは言うまでもありません.
■おまけ
スーパーヘテロダインと言えば、中間周波トランス(IFT)です.これはJA6CYA福田OMよりQSYして頂いたTRIOのT-21型IFTです.有名な通信機用IFT・T-11に換わり小型化された製品です.T-11と同等の性能が得られますが、今となってはIFTだけではどう足掻いても選択度不足です.Q-Multiも面白い回路ですが、スカート特性は少しも良くならないうえに動作が非常に不安定です.ましてやQ-5erのようにミキサーが増えるような付加装置はナンセンスでしょう.メカフィルやセラフィルといった高性能なフィルタを採用するのが最善です.
選択度はフィルタで得るとしても、段間結合のためにはIFTが欲しいところです.しかし、選択度を稼ぐのが目的でないなら、案外簡単に代替品が可能です.いつかIFTの完全自作品についてもご紹介したいと思っています.(写真はT-21を箱から出した様子.同じく懐かしいです.)
■エピローグ
かつて、受信機の自作といえば、コイルを集める、IFTを揃える、真空管を選ぶ、そして板金加工で・・・アルミ板にバーニヤダイヤルか、ミツミの指針付きダイヤルを奢ると言うスタイルが定番でした.そうした場面で活躍したのがTRIOのSシリーズコイルでした.少ない小遣いの中からコツコツと溜めて買いに行った頃を思い出します.十分な知識が有り、測定器があれば自作も可能だったわけですが、ありませんでした.自作はもう廃れてしまったように感じますが、きっと今でも思い悩みながら(完成を夢見ながら?)ハンダ付けに励んでいる人がいると信じています.買うことの嬉しさは、手に入った瞬間だけのものです.自分の手で作り上げたもの、・・・たぶん悩みも多かったでしょう・・・それには使うときにも、新たな改造に思いを巡らす時にも、多くの楽しい時間があります.そうした手助けになることはこのホームページの役割なのかも知れません.微力ながらもお役に立てれば幸いです.
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