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Simple Digital Readout for Your Radio

AVR & BASCOM-AVR:Part Six/ Build the Simple Radio Counter !
巻・6:ATMEL AVRマイコンとBASCOM-AVRで創るシンプルなラジオ・カウンタ

(Ver.1.0 : Dec. 24th 2006+Ver.1.1b : Dec. 29th 2006+Ver.1.2 : Dec. 30th 2006+Ver.1.3 : Jan. 1st2007+Ver.1.4 : Jan. 2nd 2007+Ver.1.5 : Jan. 4th 2007+Ver.1.5a : Feb. 9th 2007+Ver.1.5b : Mar. 18th 2007+Ver.1.5e : Mar. 21st 2007+Ver.1.6a : April. 7th 2007+Ver.1.6b : April. 8th 2007+Ver.1.6c : May 12th 2007+Ver.1.7a : Sep. 8th 2007+Ver.1.8 : Oct. 8th 2007)

Counter

written by Takahiro Kato JA9TTT/JH1WBU, Saitama JAPAN

http://ja9ttt.homedns.org/hamf/myexp/Simple_Radio_Counter.html



このページの目的
AVRマイコンの実用編として簡単に作れるラジオ用デジタル周波数ディスプレイを特集します.専用ICにないフレキシビリティがあるので、自作送受信機のデジタル・ダイヤルとしても最適です.


関連のページ
AVRマイコン入門と活用・応用編・実用編には、以下のページがあります.


はじめに:
感度・選択度・(周波数)安定度はラジオや通信機の性能を示す重要な要素です.しかし、それだけで高性能なラジオや受信機は完成しません.選局を行なうダイヤル機構は操作性を左右するたいへん重要な要素です.同時に周波数の読取精度にも影響するだけにおろそかにはできません.高級な回路に高級な部品を使って設計しても、ダイヤル機構がお粗末では何にもなりません.バリコンにツマミを直結したようなダイヤルでは中波ラジオの選局にさえ神経を使います.目盛も非常に粗くしか記入できません.高級な受信機ほどダイヤル機構に力を注ぐべきです.選局しやすいダイヤル減速比と十分な読み取り精度の実現にあります.これをないがしろにすればもはや通信型受信機ではありえません.

ここでは、ダイヤル機構の重要な機能の一つである周波数の読取精度について考え、解決手段としてマイコンを使った周波数カウンタ式のデジタル表示を採り上げることにします.


ご案内
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周波数のデジタル表示:
R390A_001.JPG 受信周波数の読取精度を上げるために周波数を直接数字で表示したいと言う願望は古くからありました.それを実現した一例が、軍用受信機R-390/Aシリーズだったでしょう.直線性の良いVFO(PTO)と機械式カウンタで周波数は数字表示されます.しかし、これはあくまでもアナログ目盛の代用品です.オペレータの読み間違いを防ぐ程度の効果しかありません.ダイヤルに関する一つの改善ではありましたが精度は向上していないのです.近傍の校正ポイントで修正しながら読み取る方法はアナログダイヤルと何も違いません.(写真はR-390A/URRのカウンタ・ダイヤル)


デジタル周波数カウンタ:
DSCN5880S.jpg 測定器のデジタル周波数カウンタが登場すると、通信機の受信周波数表示にも応用するようになります.しかし、初期の周波数カウンタは多数のICを使う高価なものでした.ラジオはもちろん、HAM用無線機にさえなかなか搭載されませんでした. 1970年代になると、BCLブームが起こりました.短波帯を広くカバーするBCL用ラジオが各社から登場します.安価な割になかなか精密に出来てはいましたが、アナログ式のダイヤルでは読取精度に限界がありました.待ち受け受信への強い要望から、やがて高級機にデジタル表示が搭載されます.しかし、普及機にはなかなか搭載されませんでした.デジタル表示はラジオ少年の夢の機能だったのかもしれません.(写真は自作の周波数カウンタ:1975年製)


ラジオカウンタ:
BCLラジオに付加して受信周波数をデジタル表示するアダプタが登場します.誰が名付けたかは定かではありませんが、『ラジオカウンタ』なる付加装置です.ラジオの局発(Local Oscillator:振器)の発振周波数を周波数カウンタで計測し、計測値から中間周波数(一般に455KHz)の分を補正して受信している周波数を数字で表示します.こうした機能を持った周波数カウンタは汎用のロジックIC(たとえばTTLやC-MOSなど)で製作することも可能ですが、それではコストもさることながらサイズが大きくてラジオには搭載できません.そこで、ラジオカウンタ専用のICが登場します.やがて新型の高級BCLラジオに専用LSIが搭載されて比較的簡潔にデジタル表示が実現できるようになりました.


ラジオカウンタ用チップ:
M54821_01.JPG BCLラジオはHAM用の通信機とは違います.生産台数が桁違ですから専用のICを開発しても十分ペイします.そこで、ニーズに応えてラジオのデジタル表示用チップが数社から登場しました.写真は三菱電機のラジオカウンタ用チップM54821Pです.多くのラジオに採用されていたチップです.このICは集積度を上げ、消費電力を少なくするためにIIL(Integrated Injection Logic:IIL, or I2L)と言うバイポーラ・プロセスを使ったLSI製造技術が使われていました.写真は比較的最近JG6DFK/1児玉さんがデッドストック品を発見されたもので、ご好意により入手できたものです.


M54821P
M54821.jpg 新たにM54821Pを入手することは不可能に近いのですが、持っている人もあるかも知れません.本題とは外れますが、ネット上にも情報は少ないので紹介しておきます.回路図のように数個の専用チップを使うことで中波〜短波〜FM帯を含むラジオのデジタル周波数表示ができるチップです.こうしたラジオ用チップがHAM用にも活用できたら便利です.しかしこれはラジオ専用であって、通信機には不十分でした.BCLラジオなら十分かも知れませんが表示分解能が1KHz単位では物足りません.通信機は少なくとも100Hz単位で読み取れる必要があります.一番の問題点はIF周波数を補正する係数が455KHzに固定されていることです.これではSSBの時に問題があります.SSB受信ではBFOの周波数でUSB/LSBを切り換えるのが普通です.従ってIF=455KHzの固定値補正では±1.5KHz程度の誤差が必ず発生するからです.他にも幾つか問題があって、ラジオカウンタ用チップを無線機に使うのは適当ではありませんでした.これは当然で、ラジオを前提にした専用チップですから仕方ありません.なお、M54821Pですが、ECLプリスケーラでFMラジオに対応するほか、TTLのクロック・ジェネレータとプリスケーラを組合せた3つのチップでLW〜FM帯をカバーするようにできています.M54821P以外のチップは汎用のTTLやECLで構成することもできます.詳細が必要なら以下のデータシートを参照して下さい.

M54821Pの資料:M54821P Data Sheet (Japanese:PDF/4.1MB)(頒布禁止・個人的利用に限る)




マイコン式ラジオ・カウンタでGO!


RC_004.JPG ここからが本題です.1990年代後半からPIC、AVR、H8などのワンチップ・マイコンの応用が盛んになりました.マイコンを応用した周波数カウンタが登場します.チップ内蔵のカウンタ・タイマ機能をうまく使い、周波数カウンタを構成します.従来、汎用ICを並べるか専用チップで構成していた周波数カウンタが一変しました.プログラムによってマイコンの持つ演算機能を駆使し、様々な機能を実現できたからです.分解能を任意にできるだけでなく、中間周波数の補正値を変更し、切り換えるなどは朝飯前です.VFOの周波数アップを受信周波数のダウンに逆進変換するのも簡単にできます.こうした機能は汎用ICを組み合わせて、ハードウエア的に実現することも可能ではありますが、回路が肥大化しフレキシビリティもないものになります.しかしマイコンを使えば、プログラム処理で柔軟に対応できます.いわば自身が必要とするカスタム仕様のカウンタ用ICが作れる訳です.自作無線機は標準的でない周波数構成になることも多いものです.様々な周波数構成の送・受信機にプログラムを小変更するだけデジタル表示を付加できます.マイコン式周波数カウンタは、旧式の通信機にデジタル表示を付加するのはもちろん、自作機の組込み用デジタル周波数表示にも最適です.厄介なダイヤル目盛の校正は要りません.しかし、デジタル周波数表示は便利ではあっても絶対不可欠な機能ではないのも確かです.あまり複雑では採用を躊躇してしまうことでしょう.


マイコン式ラジオカウンタの実例:
たいへん簡単な回路で実現でき製作も容易な実例を示すことにします.柔軟性があり自作機の組込み用にも最適なものです.簡単ではあっても実用性は十分にあります.ここでは昔懐かしいトリオの通信型受信機9R59DSに付加する周波数のデジタル・リードアウト・アダプタとして製作した実例を紹介します.9R59DSだけでなく五球スーパから通信型受信機まで同じように付加できます.シンプルですから簡単なラジオに使っても大げさになりません.

完成したデジタル表示:
DSCN6170S.JPG 写真のような、液晶表示式の周波数表示アダプタを製作してみました.コンパクトで常用するにも違和感のない出来上がりだと思います.通信機用として必要な100Hzの桁まで表示します.できるだけ簡単な回路で済ませることを目標にしたので、10MHzのハムバンドまでが守備範囲です.9R59Dは高一中二型受信機なので、実用範囲はおおよそ10MHzのHAMバンドまででしょう.それ以上のHAMバンドはクリスタル・コンバータを付ける必要があります.従って、簡単化と実用性を考え合わせて10MHzまでカバーできることを製作条件にしました.少々ICを追加すれば30MHz以上までカバーできますが簡単化を最優先にしたわけです.全体はAVRマイコンを使った周波数カウンタ部と9R59Dに内蔵するバッファ・アンプから構成されます.それぞれ部品数も少なく簡単です.具体的な回路や接続法は後ほど示します.使用してまず感じたのは実用性のアップです.周波数の直読はこの種の受信機でもう一度遊ぶために不可欠な要素だと思いました.


マイコン式ラジオカウンタの機能:
DSCN6189S.JPG 上で紹介したように昔のラジオカウンタ・チップでは固定した中間周波数の補正しかできませんでした.シングルシーパーの受信周波数は中間周波増幅の中心周波数と局部発振器の発振周波数で決まります.中間周波数は455KHzと決め、局発周波数からその分を差引いた値を受信周波数として表示するものでした.まったく同じ機能のラジオカウンタもマイコン式で作れます.しかし、ここではマイコン式の良さを発揮する設計にしています.特にSSB受信の時には効果的です.局発周波数とBFO周波数(BFO:唸周波発振器)の両方を読み取って演算するからです.SSB受信時にはBFOの発振周波数も受信周波数に関係します.局発周波数−BFO周波数の計算をすれば正確な受信周波数が表示できます.BFO周波数を直接読み取り補正してやることで、USBとLSBを切り換えても常に正しい周波数表示になります.このような機能を盛り込むことで正しい受信周波数を表示するアダプタになります.(写真はBFOがONの状態です)

DSCN6185S.JPG AM波(普通のラジオ放送や短波放送など)を受信する時にはBFOをOFFします.そのときはBFOのOFFを検出してAM Mode(AMモード)と表示します.(左の写真を参照) 中間周波数の補正はメモリされた固定値(455KHz)を使います.もちろん、455KHzではなく、例えば500kHzの中間周波数であったとしてもプログラムの小変更で柔軟に対応できます.お馴染み(?)の世羅多フィルタは455KHzのセラロックで作ると443KHz付近が中心周波数になります.これにも簡単に対処できます.更にCW専用ならビート分のオフセットも付けて補正することもできます.以上のように中間周波数やBFO周波数の変化を柔軟に補正し常に正確な受信周波数を表示できるのがマイコン式の強みであり特徴でしょう.こうした便利なラジオカウンタが一個100円少々のAVRマイコンで実現できるのです.もはや昔のラジオカウンタ・チップを探し回る必要などないでしょう.


別のLCDモジュールで
RC_Mod_01.JPG 上の例では文字が大きなモジュールを使いました.但し、バックライトのないタイプです.部屋が明るい時は問題ないのですが、夜になって部屋の灯を落として静かにワッチするには読みにくのです.それで、最近秋月電子通商で新発売になった小型のLCDモジュール(@900円)に交換してみました.大きさは小さいですが、受信機の前に座ってワッチするには何ら支障はない文字サイズです.

RC_Mod_02.JPG 少し寄ってみました.このような感じです.取り付け板を作ってその上に載せてから取り付けてあります.上で使った大きな方のLCDモジュールと取り付けサイズが同じになるようにしてあります.もちろん、このLCDモジュールも制御コマンド、ピン配置は他の液晶モジュールと共有ですから交換は簡単です.(注:電源ピンとGNDピンについては注意して下さい.上の大きな液晶とは同じです)

RC_Mod_03.JPG アップでどうぞ.コントラストも十分で、なかなか良い感じです.このLCDモジュールは従来のモジュールにあった、金属製の枠がないのでスッキリしています.ただし、バックライトの光が周囲にジャジャ漏れです.(Hi) もし、気になるようなら周囲をテーピングするなどの対策をして下さい.まあ、お遊びの本装置の場合は、かえって奇麗ですからそのまま使いました.


デジタル・リードアウト・アダプタの回路:
Basic_Radio_Counter.jpg AVRマイコン入門で製作したSimple Frequency Counterをもとに最少の部品追加で実用上必要な機能を実現しています.機能上、受信機の局発とBFOの2つを計測する必要があります.それぞれを切換えて測定するためのアナログ・スイッチ(74HC4066)を追加しました.他に大きな違いと言えば、マイコンチップをATtiny2313に変更したことです.AT90S2313の上限のクロック周波数は10MHzでしたが、ATtiny2313では20MHzにアップしたからです.2つのチップの機能は同じなのでプログラムも共通です.しかしクロック周波数が違えばカウンタの上限周波数は違ってきます.ATtiny2313にも少々オーバークロックですが約24MHのクロックで使いました.その結果、測定上限周波数は11MHz以上になります.シンプルなままで10MHzのハムバンドまで行けるようになります.こうした違いを除けばSimple Frequency Counterと同じです.部品は数点増えた程度です.表示器には液晶表示モジュールを使います.16文字2行表示できるので、受信周波数のほか、BFOの周波数あるいはAMモードを表示します.AC電源は内蔵しませんが、9R59Dから供給することもできます.基本的にSimple Frequency Counterのままです.もし未読でしたら、まずはそちらをご覧下さい.なお、ATtiny2313の使い方については『入門編(4):ATtiny2313への乗換えかた』もご覧下さい.

製作専用回路図
Basic_Radio_Counter_S.jpg プログラム書込済みのAVRマイコンを頒布していました.(頒布はとりあえず終了していますが、必要ならお問い合わせを)頒布品を使い製作を始めるにはプログラムの書込用コネクタ、使用していないスイッチなど、上記の回路図から必要ないものを除いて支障ありません.回路図は書込済みAVRチップから製作を始める場合のものです.部品数が減りコンパクトに作れるほか、配線も少なく製作が楽です.


9R59DSに内蔵する回路:
9R59D_Counter_Interface.JPG 受信機の周波数安定度に影響を与えないよう局発とBFOはバッファ・アンプを設けて引き出します.バッファ・アンプはコンパクトに組込むために半導体で作りました.バッファ・アンプ部の電源を用意する必要があります.カウンタ部にも供給できるよう9R59D側に安定化電源を内蔵しました.真空管ヒーター用の6.3Vを半波倍電圧整流したあと三端子レギュレータで安定化します.回路図の設計で10V/100mA以上が取り出せます.電流容量に余裕があるので、他の回路にも供給できます.なお、回路図の3端子レギュレータ・LM78M10ですが、入手しにくいようなので、μA7809(LM7809,etc)などの9V用でも良いです.性能・機能に違いは出ません.なお、6.3Vの倍電圧整流ではμA7812などの12V用レギュレータの動作に必要な電圧が得られないので使えません.バッファ・アンプはFET(2SK241)とトランジスタ(2SC1923Y)を使った2段にしました.周波数カウンタの影響をなくすためには1段では不足でした.ラグ板上に作って局発とBFOの近傍に付加しました.9R59Dには改造用と思われる取り付け穴が多数用意されています.従って穴あけは必要ありません.もとに戻すのも簡単ですから、骨董的価値(?)のある9R59Dを損なう心配はありません.バッファ・アンプからの引出しは細い同軸ケーブルを使います.


9R59DSの機械的な改造:
9R59D_Rear_View.JPG シャシへの穴あけは不要ですが、少しだけ加工が必要です.信号を取り出すコネクタを付けるためです.9R59Dのアンテナ端子はネジ止め式のアンテナ端子が付いています.そのすぐ脇に同軸コネクタ用の穴が用意されています.アンテナは同軸コネクタに接続すれば良いので、ネジ端子を改造して信号を取り出しました.端子板を外しネジのあった場所にピンジャックを付けます.写真のように簡単にできました.加工は端子板のネジ穴を少し大きくするだけです.オリジナルに戻すのも簡単です.なお、M型同軸コネクタはセルフ・タッピングビスで取り付けるようになっていましたが、ネジ山がすこし潰れていました.貫通穴に加工してM3のビス・ナットで取り付けました.これは必須の加工ではありません. その他に機械的な改造はありません.


組立(1):カウンタ部
FCC_001.JPG FCC_002.JPG 100円均一のお店で写真のようなフィギュア物を展示するケースを見つけました.使用したLCDモジュールにちょうど良いサイズです.もともとディスプレー用ですから見せるために綺麗にできています.何かの容器を流用するより格好良く作れます.このケースに合せてカウンタ回路を作ります.


RC_003.JPG ユニバーサル基板をカットして使いました.十分余裕のある基板サイズなので製作は容易でした.LCDモジュールはアルミ板を曲げた金具で回路基板に固定しました.回路基板はケースの底部にネジ止めします.配線の引き出しもケースの下部で行い、ケース上部の透明なカバーは何も加工しません.ケース下部はポリエチレン樹脂製で割れやヒビの心配がなく加工は容易です.特にシールドなどはしませんでしたが、受信機へのノイズ飛び込みは感じません.外部アンテナで受信しているからかも知れません.LCDパネルはバックライトのないタイプを使いました.明るい部屋なら支障ないようです.しかし、もし次に作るならバックライト付きを使いたいと思います.


RC2_001.JPG ケースのフタをして完成です.内部が見えるのは視覚的な楽しさもあって、このようなお遊びの付加装置には向いています.

組立(2):9R59D内蔵部分
9R59D_Counter_Buffer.jpg 10Volt_Reg.JPG 簡単な回路なのでラグ板、小基板などに組み立てます.ここでは縦ラグ板に全部品を載せました.ラグ板は既存の穴にネジで固定します.電源部分も同様です.三端子レギュレータは放熱のためにネジ止めします.クールシート(写真に見えるグレーのもの)もしくは、シリコングリースを塗布しておきます.バッファ・アンプからピンジャックまでは細い同軸ケーブルまたは低容量シールド線を使いシャシの隅にはわせます.+10Vには余裕があるのでカウンタ部へ供給できます.直接配線を引き出すよりコネクタを付ける方が良いでしょう.私もいずれそうするつもりです.


調整:
カウンタ部の調整は周波数校正だけです.カウンタ部の組立配線が済んだら再度配線の確認をします.電源端子に8から15V程度の電源を接続します.電源を与えると、LCD画面に3秒間プログラムのバージョンが表示されたあと、上段に『Freq:-455KH』、下段に『BFO:OFF AM Mode』と表示されればマイコン回路は正常です.なお、LCDのコントラスト・ボリウムの位置が極端に外れていると、文字が表示されなかったり黒く潰れてしまうかも知れません.続いて周波数校正です.水晶振動子に直列のトリマ・コンデンサを調整します.周波数が既知の発振器があれば、それを局発側の入力端子に接続します.発振器は10MHzがお薦めです.LCD上段の表示周波数が既知の周波数−455.0KHzになるようにトリマコンデンサを合わせます.

カウンタ部分の調整が済んだら、9R59Dに接続します.電源をONして30分程度ウオームアップします.モードスイッチをSSB/CWに切り換えます.LCDモジュールの下段にBFO周波数が表示されるはずです.BFOツマミを12時の位置に合わせます.その状態で表示器下段に表示されるBFO周波数が455.0KHzになるよう、9R59DのBFOコイルを調整します.コアをほんの少し回せば合うはずです.調整には樹脂製(もしくはセラミック製)の六角ドライバを使います.

続いてトラッキングの確認と微調整を行ないます.もともとトラッキング調整が十分であれば、ほとんど調整の必要はないはずです.確認は以下のようにします.モードはAMにします.バンドAから始めます.スプレッドダイヤルを時計方向に回し切り、目盛板の一番内側の目盛で100の位置に固定します.続いてメインダイヤルを回し、メインダイヤルの目盛とデジタル表示を比較します.低い方から高い方まで大きくズレていなければ調整は不要です.

もし、アナログ目盛とデジタル表示のズレが大きいようなら9R59Dの取扱説明書を参照してトラッキング調整します.デジタル表示なので、他の測定器がなくても正確に調整できます.局発コイルの調整が終われば、ANTコイルとRFコイルを調整します.テストオシレータがあればベストですが、外来ノイズで調整することもできます.順にBバンド、Cバンドを行ないます.但し、Cバンドは11MHzあたりまでしかデジタル表示が追従しません.注意が必要です.またDバンドは対象外です.以上、調整が終わればデジタル表示の9R59D/DSの完成です.


使用感:
もともと良く調整された9R59DSなので目盛は良く合っていました.しかし、短波帯では実用的でないと思っていました.スプレッドダイヤルの目盛の細かい7MHz帯はまずまずとしても、他の周波数は盲目に近いものでした.9R59Dクラスの回路構成なら、BCL用として十分な感度や選択度を持っています.しかし国際放送バンドでは細かい周波数は読めません.この点はBCLラジオにも劣っていました.しかし、デジタル表示が付けば状況は一変します.簡単に待ちうけ受信が出来るようになりました.局から局への移動も簡単です.100Hzの桁まで読めるのはHAMバンドで効果的でした.まず、BFOをONします.BFOつまみを回し、下段の表示がBFO: 453.5 KHz(LSB側)になるようセットします.メインダイヤルとスプレッドダイヤルでいつもの受信周波数に合わせたら常連さんのオンエアが聞こえてきました.周波数安定度は今ひとつですが、十分ウオームアップすれば取りあえずオンエアにも使えそうです.糸掛け式ダイヤルの減速比も適当で100Hzまで合わせるのも易しい感じでした.周波数の読取精度が改善したおかげで9R59Dもずいぶん実用性がアップしたように感じます.


標準の5球スーパーへ付ける方法:
STD_Superhet.jpg 最後に、標準的な5球スーパーに組込む方法を書いておきます.5球スーパーの回路は標準的なものです.特にこの回路に限りません.もちろん、短波付きのラジオにも使えます.周波数変換の6BE6(または6SA7や6W-C5など)のカソードからバッファ・アンプ経由で局発信号を取りだせば良い訳です.自作ラジオのダイヤル用として、最初から組込むのも面白いと思います.なお、トランスレス式ラジオの場合は、バッファ・アンプの電源をカウンタ側からもらうようにします.カウンタには9〜12V/300mA程度のACアダプタなどを使えばよいでしょう.


エピローグ
AVRマイコン入門を始めたものの、いつまでも簡単な『練習・入門』の域を出ないような印象があるかも知れません.そこで何か実用的なものを作ってみたいと思いました.いきなり複雑ではなく、入門編の延長が良いでしょう.そもそもAVRマイコンを使い始めた目的の一つが受信機のデジタル表示化でした.その目的にも沿った、簡単な製作として作ってみた訳です.性能を欲張らず、実用範囲で簡略化したので製作は容易でした.しかし、思った以上の効果があり、お蔵入りしていた9R59DSがそのままシャックの補助受信機として活躍しています.あえて選択度の向上などしていないのでAMラジオも短波ラジオも良い感じに聞こえます.しかし、9R59DSに付けたラジオカウンタは応用の一つとして示したに過ぎません.例えば、アイテック電子のSR-7のような簡単な受信機に付けてみては如何でしょう? 世羅多フィルタで選択度を改善したら、今度はデジタル表示で読取精度をアップすればもう立派な本格的受信機です.中間周波は455KHzに限りません.HF帯のラダー型フィルタを使った自作機にも搭載可能なはずです.回路はいたってシンプルです.製作の負担も少ないので、アナログダイヤルの換わりに使えば自作機の弱点だった周波数読取りが一気に解決します.

ご案内:
RC_Chipset_01.JPG 手っ取り早く製作したい人を対象に書込み済みATtiny2313を頒布しておりました.あらかた必要なお方のご希望は満たしたと思いますのでとりあえず頒布は終えることにします.もし、ご入用でしたらお問い合わせ下さい.ご返事までに、少々お時間をいただくことがあります.(写真は頒布していたチップセット)


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End / おわり

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