Key words:Home Brew,Super Heterodyn,Superhet,BC Band,Coil,Homemade

Homemade Super Het. Coil

You can make it yourself !
自作の5球スーパー用コイルはいかが? 安価な材料で再現性も抜群.

(Ver.1.0:June 7th 2005+Ver.1.0e:June 18th 2005)

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written by Takahiro Kato JA9TTT/JH1WBU, Saitama JAPAN

http://ja9ttt.homedns.org/hamf/myexp/Super_Het_Coil.html



このページの目的
真空管ラジオの製作がブームになっています.しかし、部品の入手に苦労されるようです.ラジオにはコイルが付き物で、5球スーパーを製作するには専用のアンテナコイル(ANT-Coil)と、局発コイル(OSC-Coil)が、また、並四ラジオには並四コイルが必要です.しかし、コイルの市販品も限られるので自作することにしましょう.


スーパー用のコイル
標準的な5球スーパーの製作には、コンバータ回路に使うコイルセットと、中間周波トランス(IFT)が必要になります.IFTの自作も難しくはないのですが将来の課題として、ここではコンバータ回路に使うコイルに焦点を当ててみます.コンバータ回路に使うコイルというのは、アンテナから入ってきた電波を選り分けるアンテナ・コイルと、周波数変換(コンバージョン)のための局発コイルがあります.これらは、使用するバリコン(バリアブル・コンデンサ=可変蓄電器)の容量にあったものがセットになって販売されていました.本サイトの別のページにあるようにトリオやスターといった会社から発売されていました.スーパー・ヘテロダインの動作を簡単に説明しておきます.スーパーでは、入ってきた電波をそのまま増幅・検波するのではなく、中間周波と呼ばれる低い周波数に変換してから増幅します.周波数変換するために、入力電波より中間周波分だけ周波数が高い(低くても良いが)発振器を設けます.その発振信号と混合することで中間周波に変換された信号が得られます.こうした動作を行なうのがコンバータ回路です.一般には6BE6、6SA7、6WC5と言った真空管を使います.発振器は受信周波数の変化と共に常に中間周波だけ高い周波数を発振する必要があります.アンテナコイルの同調周波数と、それより丁度中間周波だけ高い周波数に同調するコイルが必要になります.うまくこのような関係になるように設計したのが市販されていた5球スーパー用コイルです.


自作のスーパー用コイル
いま、ラジオの受信周波数を535kHz〜1610KHzとします.これは標準的な中波の放送周波数です.アンテナ同調回路は、バリコンの回転でこの周波数に同調すればよいわけです.一方、局発回路(周波数変換用の発振器)の周波数は、これより中間周波数に等しいだけ常に高い周波数に同調しなくてはなりません.中間周波数は455KHzが一般的です.上記の例で言えば、局発回路用のコイルは990kHz〜2065kHzが同調範囲になるよう製作しなくてはなりません.バリコンには連動するものを使うのが常識なので、同調ツマミの回転に従って、2つの同調回路が常に455KHzの差をもって歩調が合わなくてはうまくありません.うまく歩調が合うようにするのがトラッキング回路の設計であり、配線後に微調整するのがトラッキング調整です.トラッキング設計はなかなか難しくて、経験的な要素も大きいものです.ここでは、別のぺージで設計してある10pF〜430pFの標準的なバリコンに合わせたコイルを自作してみようと思います.


製作指針と製作結果
安価でどこでも入手可能な材料を使って、同じように製作すれば同じ性能が得られることが目標です.(再現性の良いコイル)どこにもある手近な材料としては、水道配管用の塩ピ管がありますが、今一つ見栄えが良くありません.そこで、最近は進出著しい100円均一のお店で入手できる材料に目をつけました.成形の容易さからスチロール樹脂製のものが多いからです.スチロール樹脂は高周波特性に優れ、コイルのボビンにはうってつけです.同じ材料を使えば寸法も同じになるので再現性も十分あるはずです.但し、巻線の太さが異なれば同じ回数だけ巻いてもインダクタンスは異なります.これだけは必ず同じ太さのものを使わねばなりません.補助的な材料を無視すれば、費用はコイル二つで200円以内でした.性能も市販品に劣らないものになりました.


ご注意
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Cruets_100yen.JPG 材料探査
\100ショップに行きますと様々な容器が置いてあります.その中から、胴体がなるべくずんどうで、適当な直径のものを探してみました.写真のものは、楊枝や調味料を入れるための容器です.直径45mmとやや太めですが、コイル巻きに適当そうなので購入してみました.同じものが2個入って100円です.これでスーパー用のコイルが1組製作できます.


Cruets_opn.JPG このような構造になっています.半球状の蓋と胴の部分からなっています.蓋とポリエチレン製の中蓋はとりあえず今回は使いません.胴には緩いテーパーが付いていますが、直径45mmと考えて問題ないようです.底の部分は絞り込まれていますので有効に使える長さは約50mmです.ほぼスクェアーなコイルができますからQも高い筈です.


Magnet_wire.JPG 実際にコイルを巻いてみました.使った巻線です.直径0.16mmと直径0.32mmのポリウレタン被覆電線です.記号はUEWです.非常にポピュラーな電線で、トランスを始め殆どの分野で巻線として使われています.ハンダコテの先にハンダを付けて少し長めに当ててやると被覆を剥離することなくハンダ付けできます.(少しコツが要ります)その他にフォルマール線(記号PEW)、エナメル線(記号EC)でも良いと思います.しかしUEW線が一番便利なので最近は専らこれのみです.


Coil_Inductance.GIF 空芯コイルのインダクタンスは精度良く計算できます.しかし、ボビンの影響も多少はあるので実際に巻いて巻数とインダクタンスの関係をグラフにしました.巻数を5回ずつ変えてインダクタンスを求めました.各計測の精度をあげるために、値が既知の4種類のコンデンサを付けて同調した時の周波数を実測し、計算からインダクタンスを求める方法です.それらの組合せデータによって、各巻数において6種類のインダクタンス計算結果が得られます.その平均値を求めて巻数毎のインダクタンスとしてグラフ化しました.電卓でも計算できますが、計算量が多いので共振周波数をインプットすれば自動計算する簡単なソフトを書きました.なお、インダクタンスが求まるとともに、コイル自身の持つストレー・キャパシティ(浮遊容量)も計算されます.巻線は直径0.16mmと0.32mmのポリウレタン電線です.それぞれ最大70回まで巻いたデータです.このようにして作成したデータは十分に高い精度を持っており、同一条件で製作したコイルのインダクタンスは1%程度の誤差に収まるようです。手間は掛かりましたがとても有益なデータが得られました。


Coil_Length.GIF 巻数と巻幅の関係のグラフです.必要なインダクタンスがわかると、上記のグラフで巻数がわかります.その巻数の巻き幅をこのグラフから求め、ボビンに巻線を通すための穴位置が決まります.


Stray_Cap.GIF 巻数とストレー・キャパシティの関係を示すグラフです.但し、バラついており高精度とは言えません.しかし、このようなコイルの場合4〜6pF程度のストレーを持つと考えて設計すれば良いことがわかります.多点周波数計測法で測定した意味は、ストレーを求め、真のインダクタンス値を得るためでもあります.


コイル実測データのまとめ
ややボビンが太いこともあり、min10pF〜max430pFのバリコンを想定すると必要なインダクタンスと巻幅を考慮すれば0.32mmを使うのが適当なようです.容量が小さなバリコンを使うなら巻数を増やす必要があります。その場合は0.16mmが適当です.並四ラジオも350pF程度の単バリコンを使うのでコイルのインダクタンスは多くなります.同じく0.16mmが良いでしょう.巻数とインダクタンスのグラフを役立てることが出来ます.また、短波帯のコイルには密着巻きではQが上がらず、スペース巻きが適当です.短波用コイルの必要が生じたらデータは改めて作成と思っています.短波付きのラジオを真空管で作る可能性は低く、中波帯のコイルが自作できればひとまず十分なのではないかと感じます.


5S_Coil_Finish.JPG 5球スーパー用コイルの製作実例
写真は、上記のデータに基づいて自作した中波帯の5球スーパー用コイルです.左が局発用コイル(OSC-Coil)で、右がアンテナコイル(ANT-Coil)です.いずれも100円ショップの調味料入れに巻いてあります.以下はその製作過程です.同種のコイルが欲しくなったら参考にして自作も検討してみて下さい.思ったよりもうまくできました.


5S_Coil_Design.GIF コイルの寸法設計図です.スーパー用コイルの設計データは既に作ってありましたので、それに基づいて製作しました.もちろん、先に測定済みの巻数対インダクタンス・データを使います.同じボビン(調味料入れ)を入手し、同じ寸法に加工すれば寸分違わぬコイルになります.インダクタンスもちゃんと合います.アンテナコイルの1次側は低インピーダンス型とし、巻数は同調側の約20%としました。アンテナインピーダンスは200〜300Ωになるはずです。高インピーダンス型も製作可能なのですが、補助材料(コイル)が必要なので割愛しました。


Edge_Cut.JPG 元々が調味料入れですから、口の部分にコイル・ボビンとしては不要な段差があります.そのまま使っても良いのですが、カットして写真左のように加工しました.但し、性能・機能上は不必要な加工であり見栄えだけですからそのまま使うのも良いです.お好みで.


5S_Coil_noterm.JPG 巻き上がった状態です.インダクタンスメータを使って調整したい場合は、2〜3回余分に巻いておきます.しかし再現性は良く、誤差は1%くらいのものでした.高周波ワニスを塗布すると防湿効果があるとともに、巻線が固定されて安定します.写真は高周波ワニスを塗って乾燥中です.


RF_varnish.JPG 使用した高周波ワニスです.少量が250円くらいで購入できます.コイルを巻いたらなるべく塗るようにしています.溶剤でボビンが侵されるかと心配しましたが、スチロールへの塗布も考えてあるようでした.プリント基板材料などを扱うサンハヤト社のものです.


ANT_Coil_ADJ.JPG 実は、多少なりともインダクタンスの加減ができたほうが良いと考えて、フリーに動く半ターン・コイルを設けてあります.しかしコア入りのように大幅な可変は無理で、少し加減できる程度なので、きちんと正確に巻けば十分というのが結論です.写真はアンテナコイルです.


OSC_Coil_ADJ.JPG 同じく局発コイルにも可変する工夫をしました.こちらはワン・ターンが回転できるので少し可変範囲が広くなります.しかし、上記と同じ理由で正確に巻けばこのような仕組みは必要ないと思います.トラッキング調整はパッディング・コンデンサを可変すれば良いのですから.


Coil_terminals.JPG コイルから直に巻線を出しても良いと思いましたが、熱に弱いスチロールボビンですから、一旦端子板に引き出すことにしました.プリント基板をエッチングし、ハトメラグを付けました.巻線はハトメ穴に通してハンダ付けしました.


Terminal_Eyelet.JPG 上記端子板に使ったハトメラグです. 真空管回路用にはもう少し大きめの方が良いです.穴径2.2mm用のハトメラグです.専用のポンチを使うと奇麗な菊型に開かせることが出来ます.


5SCoil_Qu_vs_Freq.GIF 最後に、製作したコイルのQを実測しました.空芯・密巻コイルとしては標準的な性能だと思います.既製品と比べてもまったく遜色を感じません.受信アンテナが変化する家庭用スーパーのアンテナコイルはあまりHigh-Qにしない方が良いとされています.製作したコイルは、ややHigh-Q気味ですが、アンテナ側の巻数を多めにとっているので実用上は適切なQになります.通信型受信機のように『アンテナトリマ』など家庭用ラジオには付けませんから『High-Q必ずしも良からず』と言うことなのでしょう.家庭用ラジオはアンテナ次第で常に完全なトラッキングが得られるとは保証できないうえ、放送電波も十分強力だからです.


エピローグ
真空管用のコイルは随分高騰しているような印象を受けますが、もともとそんなに安価な部品ではありませんでした.巻線機を使い量産していたとはいえ、それなりに手のかかる部品だったからでしょう.しかし、真空管全盛の当時も、そして今でも自作すれば既製品に劣らないものが作れる部品でもあります.しかも工夫次第で安価に製作できます.いまは素材も計測器も発展しましたから昔以上に製作は容易です.ここに示したのはその一例に過ぎません.コイルはインダクタンスのデータさえあれば容易に製作可能だと思うのですが、やはり実例が必要なようです.別のページではTRIOのSシリーズコイルの解析と同等品の製作について書いています.そこには同等品を製作するためのインダクタンスデータを掲載しました.しかし、どうもそれだけではコイルを実際製作しようと思う人は少ないように感じていました.そこで、手軽な材料を使い、こうすればリッパ(?)に自作できますと言う実例の必要性を感じたのです.Hi Hi

さて、コイルも完成しました.丁度良い機会ですから、そろそろくたびれてきたベッドサイドのラジオを交代させようとプランしています.まあ、強力な中波放送です.気負わずにシンプルなラジオを心がけましょう.でも、少しは良い音で就眠前の『ラジオ深夜便』が楽しめるよう、検波回路以降の低周波増幅には良い回路と部品を使いたいものです.そうですね、やはり真空管でしょうか.ちょうど1本だけ2A3が見つかりました.出力トランスもFW-20Sが半端な1個が出てきました.これなら良い音のラジオになりそうです.ちょっと勿体ない感じですが、電子部品は使ってこそのものです.この際使ってやりたいと思って構想を練っているのです.

ご覧のあなたも自作コイルにチャレンジしてオリジナリティ溢れるラジオの製作をご一緒しませんか.


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End / おわり

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