Elliptic Function Lowpass Filter Design

送信機の出力に不可欠なローパスフィルタのデザイン方法
比較的少ない部品で製作でき、単純なパイ型フィルタよりも高調波に対する減衰を大きくできるので効果的。回路と特性は以下の通りです。
LPF Design
設計方法は色々考えられますが、ここでは参考文献・1にあるCauerの数表を使った方法を用いる。記号の意味は上記の図を参照。Cnn XX θ=YYの意味はフィルタの段数、傾斜やリプルを示す物であるが参考文献を参照されたい。本格的には要求される特性からフィルタの形状を選び、適合するものを選択するプロセスを経るが、用途は決まっているので以下の2種の何れかの選択で設計を進める。あまり難しく考えなくてもこれで十分である。
表・1 標準化特性表と部品定数表
フィルタ形式
C05 20 θ=37°
C05 20θ=33°
Ωs
1.6616
1.8361
Amin
51.74(dB)
57.06(dB)
σ0
0.54373
0.52808
σ1
-0.11233
-0.11922
σ3
-0.37456
-0.37734
Ω1
1.0469
1.0483
Ω2
2.6560
2.9553
Ω3
0.7242
0.7084
Ω4
1.7299
1.9194
C1
1.20714
1.22731
C2
0.11701
0.09126
L2
1.23028
1.25470
C3
1.83806
1.89596
C4
0.32654
0.25054
L4
1.02332
1.08795
C5
1.03835
1.09235
表・1はカットオフ周波数fc=1Hz、入出力インピーダンスZo=1Ωとした場合の表である。コンデンサの単位はファラッド、コイルの単位はヘンリ、周波数はHzである。
設計周波数への変更は、周波数スケーリングによって行なう。設計インピーダンスへの変換はインピーダンス・スケーリングによって行なう。以下の簡単な式で計算できる。

FSF=2・π・fc------------(1) (周波数スケーリング係数)
C=Cn/(FSF・Zo)---------(2)
L=(Ln・Zo)/FSF----------(3)

但し、fcは設計カットオフ周波数。Zoは設計入出力インピーダンスである。 また、表のΩs、Ω4、Ω2はfc倍する。
実際の設計においてはfcを幾つにするか決めて、上記の数表と式(1)〜(3)を使って実際のLCの値を求める。以下の表は、実際にハムバンド用フィルタとして設計した結果である。該当HAMバンドの2次と3次の高調波がなるべく減衰の谷(減衰極)に来るように考慮してある。一般に、2次、3次の高調波が最も大きく、これを十分に減衰させる必要がある。最低減衰量(Amin)をより大きくするには傾斜を緩くするか、あるいはエレメントの数を増やす(段数を増やす)必要がある。より急峻にするのも同じ。 そのような設計が必要ならフィルタ関係の文献にあたってご研究されたい。
HAM Band
3.5MHz
7MHz
10MHz
14MHz
18MHz
21MHz
28MHz
fc
4.0MHz
8.0MHz
12.0MHz
15.0MHz
21.0MHz
22.0MHz
31.0MHz
Zo
50Ω
50Ω
50Ω
50Ω
50Ω
50Ω
50Ω
Filter Type
C05-20 θ=37°
C05-20 θ=37°
C05-20 θ=37°
C05-20 θ=33°
C05-20 θ=33°
C05-20 θ=33°
C05-20 θ=33°
C1
961pF
480pF
320pF
260pF
183pF
178pF
126pF
C2
93.1pF
46.5pF
31.0pF
19.4pF
17.8pF
13.2pF
9.4pF
C3
1463pF
731pF
488pF
402pF
279pF
274pF
195pF
C4
260pF
130pF
86.6pF
53.2pF
49.6pF
36.2pF
25.7pF
C5
826pF
413pF
275pF
232pF
158pF
158pF
112pF
L2
2.448μH
1.224μH
0.8158μH
0.6656μH
0.4674μH
0.4538μH
0.3221μH
L4
2.036μH
1.018μH
0.6786μH
0.5772μH
0.3888μH
0.3935μH
0.2793μH
Ωs
6.646MHz
13.293MHz
19.939MHz
27.542MHz
34.805MHz
40.394MHz
56.97MHz
Ω4
6.920MHz
13.839MHz
20.759MHz
28.791MHz
36.236MHz
42.227MHz
59.50MHz
Ω2
10.624MHz
21.248MHz
31.872MHz
44.330MHz
55.635MHz
65.017MHz
91.61MHz
Amin
51.7dB
51.7dB
51.7dB
57.1dB
57.1dB
57.1dB
57.1dB
数字は4桁で示してあるが、実際には誤差5%程度を目標に製作すればよい。コンデンサは数個を組み合せる。コイルは低い周波数ではトロイダルコアに巻く。周波数が高くなれば空芯コイルが良い。精度の良いコンデンサとコイルを使いストレ容量が少なくなるように製作すれば無調整でも良い特性が得られる。調整を行なう場合、L2・C2の組合せがΩ2の周波数で、L4・C4の組合せがΩ4の周波数で減衰の谷になるように調整すればベストである。ネットワークアナライザ或いはスペアナ+TGがあれば調整容易である。普通はなるべく部品の精度を良くし、高い周波数用のフィルタの場合はストレ容量も加味して製作すれば十分な特性が得られる。コイル、コンデンサには通過電力に見あったサイズ(耐圧、大きさ)のものを使う。 HF帯のリニヤアンプ用として製作し、好結果が得られている。

下の図の青いラインは、上記の7MHz用をシミュレーションした結果である。赤いラインは比較のために単純なパイ型(2段)を同じカットオフ周波数(8MHz)で設計した結果を示す。なお、パイ型のフィルタは設計周波数の約1.3倍のあたりから減衰が始まるので設計時に考慮したほうが良い。高い周波数ではパイ型の方が減衰量が大きくなる特性であるが、実際には入出力間の結合などがあるので大差ないものとなる。また、一般に高次高調波は2次、3次に比較して少ないので減衰極を高調波周波数に合わせて設計したフィルタの方が優れている。

このフィルタは高周波用ばかりでなく、ダイレクトコンバージョン受信機のLPF用にも使用可能である。回路に合うようにインピーダンス選び、カットオフ周波数を低周波にして計算すれば良い。低周波ではコイルの製作が大変かも知れないがその場合は、GIC型へ変換を試みれば全てCRで構成されたアクティブフィルタにすることも出来る。PSN型SSBジェネレータの音声帯域制限用にも適している。
LPF_Plot

参考文献:「Electric Filter Design Handbook:3rd ED」Arthur B. Williams and Fred J. Taylor著
     1995 Mc-Graw-Hill,Inc. ISBN:0-07-070441-4     $79.5-
     「Handbook of Filter Synthesis」 Anatol I. Zverev著
     1967 John Wiley and Sons,Inc. ISBN:0-471-98680-1 $225.0-

     ARRLのアマハン等にも限定された範囲の数表が掲載されている。


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