Standard Value of Resistor and Capacitor
電子部品の実用知識:E系列について
http://ja9ttt.homedns.org/hamf/parts/STD-Parts.html
Ver.1.0 March 20th 2005+Ver.1.0a May 8th 2005+Ver.1.0cMay 17th 2005+Ver.1.0cd June 11th 2005
de JA9TTT/1 Takahiro Kato
●123Ωの抵抗 237pFのコンデンサ?
回路計算をしていると、123Ωが欲しいとか、237pFが欲しいなど、任意値の抵抗やコンデンサが欲しくなることがあります。しかし、実際には、一定のルールに従った飛び飛びの値の部品しか売ってません。 では、なぜ123Ωや237pFは売っていないのでしょう。もちろん、無限の種類の部品は作れないからですが、もう一つは、電子部品には誤差が付き物で、誤差ゼロの部品はありえないからです。 ごく普通の電子回路では、10%や20%の誤差があっても正常に動作します。123Ωがなくても、120Ωの抵抗があり、220pFのコンデンサがあれば十分です。
●誤差と刻み
誤差を前提とすれば、無闇に細かい刻みは不要で、一定の間隔ごとの値で良いことがわかります。では、例えば1KΩ〜10KΩの間を1KΩおきの抵抗を用意するべきでしょうか?
一見便利そうですがこれは不合理です。 誤差10%とすれば10kΩの抵抗は、9kΩから11kΩの間にあります。ところが、9kΩの抵抗は8.1kΩから9.9kΩの間にあることになります。誤差のために、9kΩの抵抗と10kΩの抵抗がオーバーラップしてしまいます。即ち、表示が10kΩの抵抗器より、9kΩの抵抗器の方が抵抗が高いという困った現象が現実に起こりえます。9KΩだと電圧が高いので、10KΩに交換したらもっと高くなってしまった・・と言うようなことが起きれば大混乱です。誤差は真値のパーセントで考えるので、等差数列ではうまくありません。 実際には誤差を考慮した上で、等比数列で用意されています。
●E系列とは
誤差を考えたときに、隣りの値とオーバーラップすることなく合理的な数値の並びになるように、等比数列で決めたのがE系列と言われるのもです。これは、1を基数とすれば、その次の値を10^(1/E)倍になるように決めるものです。一般には、E3、E6、E12、E24と呼ばれる等比数列が用いられています。もっとも合理的な方法として、元々米国で採用されましたが、今では日本工業規格JISにも決められています。
E6系列の具体例です。10^(1/6)=1.46779926・・・です。また、有効数字は2桁とします。従って、1kΩの次は1.5kΩとなります。1.5kΩの次は、その1.46779926・・倍は、2.2kΩです。さらに、その次は3.3kΩ、その次は4.7kΩ、その次は6.8kΩ、そして桁が上がって10kΩになり、15KΩ、22KΩ・・・と言うように繰り返します。
以下の表はE系列の例を示したものです。一般の部品はこの系列に従った値で市販されています。従って、250Ωとか、450pFと言った値のものはないのです。例外的に旧JISのなごりで250pFのコンデンサや500Ωの抵抗器などが、主にアマチュア相手に売っていることがあります。しかし、新規設計では下表のようにE系列から選ぶのが合理的です。
系列
数 列
E3
1.0
2.2
4.7
E6
1.0
1.5
2.2
3.3
4.7
6.8
E12
1.0
1.2
1.5
1.8
2.2
2.7
3.3
3.9
4.7
5.6
6.8
8.2
E24
1.0
1.1
1.2
1.3
1.5
1.6
1.8
2.0
2.2
2.4
2.7
3.0
3.3
3.6
3.9
4.3
4.7
5.1
5.6
6.2
6.8
7.5
8.2
9.1
●抵抗えらびのTips
抵抗器では、カーボン抵抗(誤差5%)がE12系列、金属皮膜抵抗器(誤差1%または2%)がE24系列で市販されています。さらに、もっと細かいE48、E96、E192などの系列も規格の上では存在しますが、特注または受注生産になるので、あまり使うことはありません。部品誤差を広く許容する設計にして、E12系列から選ぶのが良い設計でしょう。誤差5%を指定しながら、E24系列はナンセンスです。また、真空管や半導体の特性は10%どころでなく、50〜100%もバラつくので多くの回路は10%誤差でも十分すぎるかもしれません。普通の増幅回路などでは、動作点が10〜20%ずれても問題はなく、必要なら動作点調整をすれば良く、部品誤差も同時に吸収できてしまいます。
●コンデンサ・コイルえらびのTips
コンデンサは、せいぜいE12系列のものしか市販されていません。E24で設計すると入手に苦労するのでやめたほうが良いです。電解コンデンサなどは、多くの場合、E6系列で売っています。また、マイクロ・インダクタのような既製のコイルも部品屋の店頭ではE6系列が多いようです。コイルとコンデンサのE24系列は非現実的ですし、なるべくならE6系列が入手の苦労が少ないです。
即ち、・・0.47、0.68、1.0、1.5、2.2、3.3、4.7、6.8、10、15、22・・と言う数字で選びます。
●真空管ラジオの修理の時には
1・部品定数について
古い真空管式のラジオを修理しようと思うと、250pFのコンデンサや、500Ωの抵抗器などが使ってあります。こうした場合、E12系列から近似のコンデンサや抵抗器を選べば十分です。250pFは220pFのコンデンサで、500Ωは470Ωを使います。使ってあった物になるべく近い値を選びたくなるのは人情ですが、もともと10%とか20%の誤差を許容する設計になっています。それほど神経質になる必要はありません。 気休めにはなるので探すのはご自由ですが、違いはわからないでしょう。ラジオならE24系列の部品は必要ありません。 回路を良くわかっている人はE6系列やE12系列で代替します。 5球スーパの場合も正確にしたいのはパッディング・コンデンサくらいです。 これも近似の値を選べば十分ですが、気になるなら5%精度のものを2個組合せて使います。何れにしても交換したらトラッキング調整をもう一度やりなおします。
2・定格電圧・電力について
真空管回路は電圧が高いため、コンデンサの定格電圧と抵抗器のワット数に注意を要します。現在、市販のコンデンサは半導体回路用が殆どのなので、耐圧50V以下が一般的です。購入時には必ず定格電圧を確認します。 真空管時代は黙っていても耐圧は250Vでした。コンデンサの種類に言及すると際限がなくなるので、程々にしますが、ペーパーコンデンサや、MP*1コンデンサは未使用品があっても使わないほうが賢明です。 構造・材質的に湿気に弱く、いずれ絶縁抵抗が低下します。外国製は特に弱くて、日本の梅雨時を越せないものがあります。フィルム・コンデンサやメタライズド・フィルム・コンデンサで代替します。 マイカコンデンサの問題は本サイトには何回も登場しています。円筒型チタコンも入手困難ですから、置き換えはセラミック・コンデンサなります。なお、セラミック・コンデンサの温度係数については、別のページをご覧下さい。(*1:MPコンデンサ=メタライズド・ペーパーコンデンサ)
店頭に並んでる抵抗器は、1/4W型が普通です。グリッド・リークのように電流が流れぬ所には1/4W型が使えます。しかし真空管回路は電圧が高いので、定格電力に気を付けます。抵抗の消費電力は印加電圧の二乗に比例し、電圧が10倍になれば発熱は100倍にもなります。ワット数の大きな電力用抵抗器は酸化金属皮膜型やセメント抵抗*2を使うと、驚くほど小型化できます。 しかし、それら小型化部品は同じ電力を消費させると、表面温度が非常に高くなります。熱に弱い部品は周囲から離さねばなりません。 大きな昔の部品の方が熱放散がよいので表面温度はずっと低かったのです。 場合によって、定格電力で選ぶのではなく、物理的な大きさで選ぶと言った配慮も必要になります。昔の部品は、自身の耐熱性がなかったので熱放散のために大型でした。(*2外観からセメント抵抗と呼ばれるが中身は巻線抵抗)
●自作HAMの常備品
自作HAMのパーツボックス常備品は、抵抗器はE12系列で、コンデンサはE6系列で十分でしょう。抵抗の場合、100Ω以下、1MΩ以上は使用頻度が低いのでE6系列でも十分です。それでも50種類以上になります。 なお、100Ω、1kΩ、10kΩ、100kΩの4種類は使用頻度が高いので100本くらいあっても無駄ではないです。他は10〜20本も常備すれば満足できます。なるべく少ない種類の部品で済ませるのが上手な設計ですし、誤差が20%くらいあっても動作するのが上手なやり方だと思っています。もちろん部品数そのものが少ないのがベストですが、安定度や再現性を無視した省部品設計は逆にナンセンスなことです。 また、抵抗値はデジタルテスタで精度良く実測できます。 中途半端な値が必要なときは実測して2〜3個組合せて作れば良いです。 このサイトでは、計測器など特に高精度を要求される場合を除き抵抗器はなるべくE12系列を使い、コンデンサはE6系列を基本にしています。但し、ジャンクを使うときはその限りとは言えませんが。 Hi Hi