Key words:TCA440,SIMENS,TESLA,455KHz,IFT,AM-Radio,SSB,CW

TCA440 European AM Radio Chip

It's good or not.
欧州製AMラジオチップ.どんなものか?

(Ver.1.1a:Aug.12th 2004+Ver.1.2:Aug.14th 2004+Ver.2.0a:Aug.14th 2004+Ver.2.1:Aug.16th 2004+Ver.2.1a:Aug.29th 2004)

TCA440

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written by Takahiro Kato, Saitama JAPAN

http://ja9ttt.homedns.org/hamf/parts/TCA440_AM_Radio_Chip.html



このページの目的
欧州製の無線機キットや自作品には、TCA440と言うICが頻繁に登場します.オランダから国際通販で入手できました.AMラジオ用のICですが、検波回路が外付けになっているので、SSB/CW受信機への応用が期待できます.テスト回路を紹介し、使ってみた印象を報告します.


AMラジオ用のIC
民生品のIC化は補聴器に始まりますが、やがてAMラジオへと向かいます.AM放送は周波数が低く製造は容易でした.初期のICはトランジスタ・ラジオの回路をそのまま集積したようなものが多く、相変わらずIFTなど外付け部品がたくさん必要でした.ICだというだけのものであり、ラジオを作るうえでメリットはあまり感じませんでした.しかし、外付け部品が多いということは、融通が利くのは確かで、'80年代にはこうしたICをうまく使った製作記事がたくさん登場します.ICを使うと一歩進んだ自作品を感じさせてくれたのでした.しかし、ラジオ用ICも徐々に改良され、外付け部品が少なく、無調整化されて行きます.その究極は汎用トランジスタと同じパッケージに入った3端子ラジオであり、また最少の外付け部品でスーパー・ヘテロダイン・ラジオが作れるLA1600(三洋電機)などです.こうなると、AMラジオには最適ですが、SSBやCWモードが必要な通信機への応用はやりにくくなります.さらにラジオチップも低消費電力、低価格の方向へ進み、受信性能はICの基本性能で縛られるので通信機に適さなくなりました.


TCA440
最近は活用できるラジオ用Chipがめっきり減少しました.入手できるChipも、AMラジオには良いのですが、HF帯で必要なSSBやCWの受信には問題があります.BFOをIFアンプに注入し、AGCはオーディオ信号で掛けるなど工夫が試みられてきましたが、どうもスッキリしません.SSB/CW受信にはBFOが必要です.しかしIFにBFOを注入したのでは、BFOでAGCが掛かってしまい感度低下が起こります.BFOを弱くすれば感度低下は改善できますが、今度は強い信号がうまく復調できません.信号の強さに応じてBFOレベルを可変する工夫が必要でした.内部で直結されたIFアンプと検波回路を切り離すことができればこんな苦労もありません.しかしAMラジオ専用なのですから仕方ありません.こうしたICを苦労して使うより、ディスクリート構成のほうが適当でした.

欧州のHAMのサイトをみると、米国にはない面白い自作品を見ることが多くなりました.使用しているデバイスは欧州系が中心ですが、米国系、日本系などをうまく活用しています.使われているICは米国系が多く、おなじみの型番も見かけます.そのような中で、TCA440と言うラジオ用ICが自作受信機やトランシーバ・キットに使われているのが目にとまりました.これはヨーロッパ系のICです.ヨーロッパの半導体が特別高性能とは思えず、普通は見過ごすのですが、面白い特徴に気付きました.検波回路が外付けになっているのです.検波が外付けなくらいですから、AGC回路も内部接続がありません.・・・と言うことは、プロダクト検波を付けたり、尖頭値AGC回路にしてSSBやCW用受信機を製作するには持ってこいです.これなら、超高性能は狙わぬ、簡易な受信機に最適です.さっそく入手して実験してみることにしました.(TCA440の入手情報はページ最後の方にあります)


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TCA440_02.JPG TCA440のオリジナルはSIEMENS社(独)のようです.写真はそのアプリケーション・マニュアルです.ICを入手したら応用するうえで必要ですから、ダウンロードして下さい.

TCA440 Application Manual (PDF File 352KB)


TCA440_Block.GIF TCA440の概略:(何だかICメーカーの宣伝文句のようですが・・・)
TCA440はAMモードを対象とした受信機(ラジオ)のために開発されたICです.最高周波数は50MHzが可能です.消費電流が少なく、電源電圧範囲も広いのでポータブルラジオからカーラジオまで幅広い応用ができます.内部は、高周波増幅、ダブルバランスドミキサー回路、局部発振回路、中間周波増幅(差動4段)、増幅型AGC回路、Sメータ駆動回路からなっています.検波は外付けのダイオードにより行ないます.この検波電圧を使って、高周波増幅と中間周波増幅に直接AGCを掛けることができます.AGCは中間周波増幅と高周波増幅にそれぞれ独立に掛けることもできます.両方に通して掛けた場合、高周波1段、中間周波3段にAGCが掛かることになります.その結果、AGCレンジはおおよそ100dB以上に及びます.AGCが掛かった状態でも、高周波増幅とミキサーの特性低下は僅かで、2.6Vppもの信号を低歪みで扱えます.局部発振回路は、LC自励発振が基本ですが、水晶発振も可能で、また、外部から与えることもできます.Sメーター駆動回路には、300〜500μAFSのメーターを直結できます.メーターの振れは概略ログリニアな特性で、弱い信号でも良く振れ、強信号でも振り切れにくい特性です.内部回路全体は差動増幅器を基本として構成されており、歪みに対して有利です.

テスト回路を作るのは、こうしたメーカーの言う良い所ばかりでなく、使う上で注意すべき点を明らかにするとともに、何らかの欠点が内在しないか確認することにあります.実用回路の設計には、事前にテストをして情報を集めておくことがたいへん役立ちます.


TCA440_01.JPG 実際に入手できたのはTESLAのものでした.セカンド・ソースです.TESLA社はチェコスロバキアのメーカーで、以前から半導体を製造していました.現在はON Semiconductor社の傘下に入り、独自ブランドでは製造していません.デートコードの付け方が米国製と同じとすれば、このTCA440は1990年の第31週の製造となります.我々の応用には適したICですが、普通のAMラジオには、もっと良いICがあります.既に製造が終了したICかも知れません.しかしドイツの販売店では1.5ユーロ(200円くらい)で売っていますから、豊富な流通在庫があるか、あるいは今も製造している会社があるのでしょう.自作するHAMはヨーロッパでも少数派で、供給に心配はないようです.

のちの調査によれば、SIEMENS社は製品の整理にあたって東欧のメーカーにこのチップの製造権を譲渡したとのことです.また、現在では中国にもこのチップのウエファを製造する会社が存在し、こうした物が組立てられて主にヨーロッパ方面へ供給されているものと思われます.TESLA社の中身がどこ製であるかはわかりません.



TCA440_Test_CKT.GIF 上記アプリケーション・マニュアルを参考に、どんなICなのか検討するために作成しました.アプリケーションはラジオが基本です.当然ですがLocal OSCは自励発振です.自励発振の実験は別に行なうとして、テストでは外部から与えました.またRF-Ampの入力にも同調回路は置かず、周波数を変えた評価が容易なようにしました.最初、IF部にセラミック・フィルタは入れていませんでした.しかし、ミキサーの後に単同調IFTが一つでは選択度不足でした.TCA440のIFアンプは周波数特性が良く、ハイゲインなので中波のラジオがそのままIF-Ampに入り込んでしまいます.何をやってもNHK第二放送(JOAB/693KHz)が聞こえる始末です.このため、IFTの後ろにセラミック・フィルタを追加しました。通過帯域幅=15KHzの広いものですが、これは効果的でした.やっとテストできるようになりました.なお、幾つかの部品については以下で説明します.


TCA440_TEST_Board.JPG 上記の回路を製作したものです.中波とはいえ、高周波回路でありハイ・ゲインですから配置やアースの処理に注意しないと発振などに悩まされます.ICには全体で100dB以上のゲインのあるAmpが集中しています.実機の製作では、ユニバーサル基板ではなく、しっかりしたアースのできる両面基板が良いです。


Germanium_Diode.JPG 調べた結果、アプリケーション・マニュアルにあるAA118と言うダイオードはゲルマニウム・ダイオードでした.検波用なので何でも良いはずです.一般的な1N60、IN34Aなどのゲルマニウム・ダイオードのほか、順方向電圧の低いショットキー・ダイオードでも良いです.抵抗を一本追加し、フォワード・バイアスを掛けてシリコンダイオードを使う方法もあります.(写真手前から、1S73A、1N270、富士通製の型番不祥品)


IF_Transformer.JPG 少なくとも2個のIFTが必要で、テスト回路には手持ちを活用しました.コアは白色でラジオの段間用です.下記にデータを示します.なお、FCZ研究所の7M-450が同等に使えます.その他、100円のAMラジオを分解すると2個調達できます.(100円ラジオを開けると3個あるように見えますが、1個は局発用のコイルです)


IFT_455KHz_Spec.GIF 使用したIFTのデータです.自分で巻くこともできますが、巻数も多くたいへんなので購入するほうが楽です.一般のトランジスタ・ラジオ用で良いです.トランジスタ・ラジオ用IFTは、たいてい3本組になっており、コンバータ段(黄色)、中間段(白色)、検波段(黒色)のようにコアが色分けされています.上記回路図に使う場合、T4に黄色、T5には黒色ということになりそうですが、実際はどれをどこに使っても大差ありません.無線用としては、なるべくQの高いコイル(IFT)が適当です.検波段のコイル(T5)には、ハイ・ゲインなIF-Ampの広帯域ノイズを軽減する効果があります.複同調にするのも良いです.逆に、Hi-Fi(?)なAMラジオにするなら、高音域が減衰するのでQ-Dumpします.


Bifiler_Transformer.JPG RF-Ampの入力部と局発(Local OSC)を外部から与えるための広帯域トランスです.もともとトランスとして作られたものではなく、ノイズ対策用のコモンモード・チョークでしょう.1:1のトランスと見なして使います.周波数特性は100KHzから30MHz以上までフラットで、通過損失も1dB以下でした.一般的には、フェライト・ビーズFB-801-#43のほか、フェライト・コアを使ったBi-Filer巻きのトランスが使えます.但し、上記はテスト用回路なので広帯域トランスにしましたが、普通は同調回路を使います.実際の応用にあたって、このようなトランスが必要になることはありません.


Ceramic_Filter_15KHz.JPG 最後に、使用したセラミック・フィルタです.秋葉原で見つけたJunkで、通過帯域幅は15KHzあります.無線用には広すぎますが、中波のラジオをHi-Fiに聞くなら、ちょうど良いです.狭いフィルタのAMラジオと聞き比べると、良い音がします.もともとはページャーなどのNBFM用ですが、ローカル局専用のAMラジオのフィルタには十分使えます.


TCA440_In_Out.GIF テスト回路で測定したデータ
左図は、上記テスト回路で測定した結果です.各部の信号レベルを確認するとともに、感度、AGC特性などを調査しました.
AGC特性は良好で、入力が100dB(10万倍)変化しても、7.6dB(2.4倍)の変化です.これはRF段にもAGCを掛けているからです.Sメータ出力は1KΩ負荷の端子電圧で示していますが、そのままμA目盛りで読めばよく、多少うねりはありますが、概略ログ・リニアな特性です.IF-Outputはプロダクト検波器へ行く信号レベルを示すもので、最大200mVppを見込めばよく、これはSN16913Pには適当な信号レベルです.NE/SA612を使う場合は高感度ですから、低減する必要があります.テスト回路のAGCは平均値AGCですが、SSB/CWには尖頭値AGCとすれば、IF-Outputのピーク電圧は同程度となります.なお、テスト回路はIFフィルタが広いため、広帯域ノイズの影響があり、0dBμ以下の入力条件ではノイズの影響が含まれています.測定周波数は6MHzです.但し、2MHz、20MHzの比較でもほぼ同一でした.従って、中波から短波帯まで同特性と考えて設計できます.局部発振器(Local OSC)のレベルはどの周波数でも60〜80mVpp(おおよそ-20dBm/50Ω)が最適範囲でした.電源電圧は9Vdcです.なお、回路電流は無信号時が10.77mA、信号が120dBμの時に12.94mAでした.Local OSCの有無による消費電流の変化はありません.

設計方法にもよりますが、このChipの前にRFアンプは設けなくても、かなり高感度なSSB/CW用受信機が可能です.ダブルスーパーの場合、入力部にルーフィングフィルタを置いて帯域制限を真っ先に行なうのがベストです.Collins Typeとするなら、クリスタル・コンバータ部のゲインはなるべく低く抑え、10MHzまでは6〜10dB以下、それ以上の周波数でも15〜20dB程度に留めるべきです.これでもSSB/CWなら0.1μV以下が受信できます.イメージ・レシオなど検討すべき課題はありますが、TCA440の基本性能はなかなか良好で、ごく簡単な周辺回路だけで実用的な受信機が製作できそうです.


TCA440の入手について.
今のところ、日本国内で販売している所はみあたりません.SSBやCWを含む受信機の製作には最適なICですから国内の販売店が扱ってくれたら嬉しいです.しかし、正規ルートでの入手は困難なようです.SIEMENS社の代理店はありますが、当のSIEMENSはこの種のICから撤退しています.流通在庫に頼る状況でしょうか.継続供給は難しく、販売店も扱いにくいでしょう.とりあえず、海外通販を使えば入手が可能です.以下のオランダの業者から購入しましたが、対応は迅速でした.送金もPayPalを使って簡単にできます.但し、送料はやや高めで、10ユーロでした.(封筒の場合。箱だと20ユーロ) 従って、一人で数個の入手では割高ですからお友達と分け合うと経済的です.掲示板を通じて募集したら希望者が8名おられましたので送料をあまり気にせず入手することが出来ました.送料を含めた共同購入の単価は460円でした.なお、以下の業者は英語で大丈夫ですが、もし独逸語が堪能でしたら、ドイツにはもっと安価な販売店もあるのでお試し下さい.

Barend Hendriksen HF Elektronica BV, The Netherlands
Postbus 66, 6970 AB Brummen
Troelstralaan 15, 6971 CN Brummen
http://www.xs4all.nl/~barendh/Indexeng.htm

TCA440の表示単価は3.61ユーロですが、日本からの注文には欧州域内の消費税は掛からないのでもう少し安価です.

海外通販はご自身の責任で! このサイトの記述は安全性などを保証するものではありません.


エピローグ
何か完成品が出来たわけではないのですが、共同購入を呼びかけた者として、情報公開したいと考えました.実際に試してわかることがたくさんありました.どんな風にテストしたのか、少しはお役に立てたなら幸いです.それにしても日本で入手しにくいのが残念なところです.


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End / おわり

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