Key words:CZ-501D,CZ-504D,WE-310A,WE-311A,6R-P10,19M-R10,19R-P11,19R-LL1,12BY7A,Telephone Repeater,HAM,7003KHz

On the Air with Telecom tubes.

Sic Luceat Lux.
光りよ輝きを放て

(Ver.1.0:Mar.12th 2004+Ver.1.0d:Mar.14th 2004+Ver.1.0e:Mar.15th 2004+Ver.1.0f:Mar.16th 2004+Ver.1.0g:Apr.7th 2004+Ver.1.0h:July 7th 2004+Ver.1.0i:July 10th 2004+Ver.1.0j:Sep. 12th 2004)

Tube_WE-408A

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written by Takahiro Kato JH1WBU/JA9TTT, Saitama JAPAN

http://ja9ttt.homedns.org/hamf/parts/telecom_tube.html



このページの目的
電話中継用の真空管はアナログ時代の通信を支える重要なデバイスでした.真空管はWestern Electricの電話中継器によって実用化されました.半導体化、デジタル化によって忘れ去られた電話中継用真空管を思い、再びアマチュア無線の世界で羽搏かせたいと思います.


電話中継と増幅素子
真空管は電話中継器の増幅素子として着目され最も早く実用化された分野です.電話は有線で接続されているとは言え、長い距離では音声電流が減衰して行きます.非常に遠距離の電話ともなれば、途中で増幅して中継する技術が必須です.真空管式増幅器以前、『機械式増幅器』とも言える、電子管や半導体を使わない増幅器が既に存在してはいました.それは簡単に言えば、マグネチックレシーバの振動をカンチレバーでカーボンマイクのダイヤフラムに直結した『増幅器』でした.しかし、音質も悪く信頼性も低い物であり、無いよりマシ程度の物でしかありませんでした.米国のベル電話会社は広大な大陸をカバーするために高品質の『増幅技術』を求めていたのです.Lee De Forestが発明した3極管は着目されましたが、彼が持ち込んだ物は物理実験装置さながらの、短命で信頼性の無い物でした.しかし、真空管の可能性を見抜き、電話中継器のためにBell研究所をあげた執拗な改良が進められ、ついに実用に値する増幅素子として完成されたのです.真空管の完成によって電話中継器は実用になり、広い大陸をカバーする電話網が完成したのでした.電話中継用真空管は馴染みの無い裏方の電子デバイスではありますが、長く我々の社会を支えて来ました.やがてBell研究所自らによって、本質的に寿命を気にする必要のない固体増幅素子・トランジスタが発明されます.電話中継用真空管は寿命10万時間に及ぶほどに改良が続けられましたが、ついに通信用デバイスとしての使命を終えたのでした.


電話中継用真空管とその活用
電話中継用の真空管は馴染みの無い物ばかりでした.ですから、ジャンクがあっても気にかけない存在でした.入手の機会を逸したことも多かったはずです.しかし、その素性がわかってきてから幾らか入手できました.これらを写真で懐かしむとともにアマチュア無線への活用を考えてみたいと思います.電話用真空管とは言っても真空管には違いなく、特徴を理解し、用法を誤らなければ我々の世界でも新たに光り輝くに違いありません.


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電話中継用(有線通信用)真空管の歴史
本ページは通信管の活用を探ることが目的なので歴史については極簡単な説明に留めます.真空管の歴史については既に多くのサイトがあります.

初期型(1920〜1940年代)
テニスボール大の球形をした3極管が初期の中継器用真空管です.負帰還技術は発明されていなかったので、無帰還でも本質的に低歪みな3極管が用いられました.WE社とNEC製の同等品があります.101D、102D、104D等のD型管のほか、末尾にFが付くF型管があります.日本独自の無装荷式搬送多重回線用として、WE型を改良したHO型(High-Output)があります.HO-101F,HO-104F,etcが代表的です.

負帰還増幅器時代の到来(1930〜1950年代)
安定な増幅度と、歪みを減らすには負帰還技術が欠かせません.負帰還を掛けるために1段あたりの増幅度が大きい5極管が開発されました.米国ではWE-310AやWE-311Aがあります.日本では独自のCZ-501D、CZ-504Dに代表される、CZシリーズを開発しました.

ミニチュア管の時代・終焉の時(戦後〜1970年代)
通信需要の増大に伴い、中継装置の高密度実装が必要になりました.CZ管を小型化しヒータ電圧を19Vとしたミニチュア通信管が開発されます.19M-R9、19M-R10、19R-LL1、etcなどJIS名称でトランスレス管のような名前です.寿命10万時間以上を誇る高品質な球でした.しかし幾ら長寿命でも交換不要なトランジスタとでは経済性に決定的な差があります.有線通信用真空管の時代はここで終わったのです.


CZ_tube_1.jpg 写真は日本電信電話公社が電気通信創業100年を記念して纏めた『電気通信自主技術開発史』の1ページです.全四冊のうち搬送電話編からCZ管開発の経緯に関わる部分を示します.左記以外にも戦後のCZ管改良の経緯も興味深いのですが、著作物ですので書籍紹介に留めます.なお、本書は公立図書館などで閲覧可能と思います.


CZ501D_1.JPG 電話中継用増幅器の前段増幅用として開発されたCZ-501Dです.WE-310Aと同等のように言われますが、後に示す比較表のようにより高性能な5極管として開発されています.特性はシャープ・カットオフです.見かけるものは日本電気製が多いです.これは、同社が戦前は独占的に、戦後も大半を供給していた関係でしょう.戦後は、神戸工業(TEN)と日立製作所も供給を始めます.写真は日立製のCZ-501Dで、NEC製より珍しいかもしれません.『電気通信自主技術開発史』の写真はNEC製ですが、仕様に基づき同じように作られています.

CZ501D_2.JPG 電話中継用真空管は、耐震構造管ではありませんが、マイクロフォニック雑音を嫌うので振動しにくく作られているようです.後に示すラジオ用5極管、UZ-6C6と比べるとわかります.

CZ501D_3.JPG 1953年11月製造でしょうか.作られてから50年が過ぎたことになります.特性を調べましたが、初期と変わらぬ性能を維持しているようでした.


UZ6C6_Hit_1.JPG 同じ時代・同一メーカーの一般用5極管があったので比較してみました.写真は日立製のUZ-6C6です.CZ-501Dと同じシャープ・カットオフ5極管で、主に再生検波式ラジオに使われました.スーパーヘテロダインの時代になると、ラジオには使われなくなりますが、汎用の小信号用5極管として、増幅器全般に使用されました.


UZ6C6_Hit_2.JPG CZ-501Dに比べると、簡単なサポート方法がとられています.また、何となく雑な感じですが、この時代は戦後の貧困の時代ですから仕方がないでしょう.同時代の東芝(マツダ)のUZ-6C6と比べるとかなり見劣りします.

UZ6C6_Hit_3.JPG 6C6や6D6と言えば、管壁内側にカーボン・スート(=Aquadag/商品名)と呼ばれる導電性塗装が施されているのが普通です.この6C6はクリアなガラスのままで珍しいかもしれません.昭和23年12月と言う文字が読めます.戦後の混乱期に生まれた真空管です.しかし、特性を調べるとしっかり生きていました.


CZ504D_1.JPG 電話中継用増幅器の出力段用として開発されたCZ-504Dです.立派な出力管の風貌ですがスピーカーをドライブすることはなく、専ら中継用のケーブルをドライブしていました.オーディオ用としてA級シングルで使うと、3〜4W程度が得られます.5極管は内部抵抗が高く、無帰還ではダンピングファクタの小さいアンプになります.たぶんラジオチックな音でしょう.3極接続すると良さそうですが、スクリーングリッド電圧が低く抑えられているのでプレート電圧も制限されるため余り出力は取れないでしょう.後に示すUZ-42と比べてプレートが大きい余裕のある設計になっています.


CZ504D_2.JPG グリッド(第1)の過熱によるエミッションを防ぐため、放熱フィンが付いています.構造も振動に対して考慮されています.

CZ504D_3.JPG 日本電気製が一般的ですが、このCZ-504Dも日立製です.上のCZ-501Dと同時に入手した記憶があるので、同じ装置から抜いたジャンクだったのかも知れません.製造年月が同じになっています.特性を確認しましたが、良好で、今でもリッパに使えることがわかりました.

CZ504D_4.JPG ゲッターを気にする方が多いようなので撮影してみました.2つ使って、真空度を良く保つようにしているのでしょう.


UZ42_Maz_1.JPG CZ-504Dとよく似たUZ-42です.むしろCZ-504Dの原形がUZ-42だったのかもしれません.UZ-42はたいへんポピュラーな出力用5極管で、5球スーパーの出力管として定番でした.アマチュア無線では、安価な送信機の定番ファイナルでもありました.入門用、あるいは貧乏HAMにはこれしかありません.無理を承知で6〜10Wも搾り出すことが出来たのです.電極の引出し線も長く、プレートもグリッドも下に出ていますから、高い周波数は苦手だった筈です.それでも7MHzあたりでは中和も取らずに使っていました.


UZ42_Maz_2.JPG 当時、国産で最も信頼されていたのはマツダ真空管(東芝)でした.確かに作りも丁寧で、しっかり出来ています.それでもCZ-504Dの作りの良さには勝てませんね.

UZ42_Maz_3.JPG ゲッターは一個で、飛散方向を加減するために、L型の板に付いています.UZ-42を眺めていると大らかな時代を思い出します.もう一度UZ-42 Finalの夢を見てしまいました.CWでしたら十分な実力を発揮する送信機が製作できます.ジャンク箱の眠りから覚ませて、シャックで活躍させてやりましょうか?


CZ_tube_2.jpg 『電気通信自主技術開発史』にCZ管とWE製を比較した表がありました.優れた性能であった事がうかがえます.


HAN4_Tel_Repeater_1.jpg CZ管はどんな回路で使われていたのでしょうか.『電気通信自主技術開発史』にあった「搬4号電話増幅器」の回路図です.CZ-501Dが2本、CZ-504Dを出力とした負帰還増幅器になっています.複雑なイコライザは、通信線路の信号減衰量が周波数によって一定ではないため、これを補正するためのものです.一般に高い周波数ほど減衰が大きくなるので逆特性のアンプで平坦に戻して中継していました.中継区間や使用ケーブルによって減衰特性は異なるので、個別調整が必要です.手早く調整できるようになるには熟練を要したそうです.電源は示されていませんが、フィラメントは3本直列にし、さらにバラストランプで安定化し、22Vから供給されていました.中継所の電源は、初期には2組の鉛蓄電池を交互に充電して使う完全直流給電だったそうです.その後フローティング充電式になりました.使用していた鉛蓄電池は、22V/10,000AH(ヒーター用)、250V/800AH(プレート用)と言う巨大なものだったそうです.

HAN4_Tel_Repeater_2.jpg 上記の「搬4号電話増幅器」とはどんな形状のものだったのでしょうか.不鮮明な写真ですが、『電気通信自主技術開発史』に見つけることが出来ました.コの字型のシャシに立体配線されていたように見えます.こうしたユニットが電話局や中継局に多数並んで通信を支えていたのでしょう.逓信総合博物館に所蔵されているのではないかと思います.

Two_Stage_TX.GIF CZ管を使った簡単なCW送信機を設計してみました.CZ管をもう一度『通信』に復活させてやりたいのです.もちろん、CZ管ではなく、UZ-6C6とUZ-42でもそのままで良く、ヒーター配線を変える程度です.6C6と42はヒータ電流が違うので直列にできません.トランスの6.3V巻線から並列に供給してやります.こんな送信機でも3〜5Wは楽々で、コンディションに恵まれればオーバーシーも可能です.しかし、"Final tube is a CZ504D"とやっても理解はされないでしょうね.Hi

1V2_today.GIF ちょっと遊んでCZ管を使った1-V-2を設計してみました.ハイブリッドは邪道だなんて言わないで下さいね.真空管はCZ管に限りません.検波管と低周波初段に6AU6、出力管に6AQ5でも使えば同じになります.6SJ7と6V6でも良いでしょう.それも無ければ、6CB6と12BY7Aでも良いし、3CB6に4M-P12でしたらタダ同然です.電圧安定をしてますし、高周波増幅も付けましたから、電源電圧の変動やアンテナの動揺にも安定です.また、入手しにくい低周波チョークが要らない回路を考えておきました.『本邦初公開・モダン設計の1-V-2』とでも言いましょうか.真空管回路にも遊びと進歩があって良いと思います.

VXO_TX.GIF 上の2ステージ送信機ではちょっと心もとないので、VXO付き3ステージ送信機を考えてみました.これならQRP用送信機として主役の座を狙えそうです.CZ管で作るのが一番楽しそうですが、このあと説明する、19V管の19M-R10を2本と19R-P11を使えば近代的でクールです.狭いシャックにST管の送信機は邪魔ですからミニチュア管はどうでしょうね.



19M-R10_1.JPG 電話需要の増大とともに、中継機器の小型化は必須となりました.ミニチュア管の電話中継用真空管が開発されます.写真はCZ-501Dに代わる目的で開発された19M-R10です.中継器の前段増幅のほか、汎用に使用されたシャープ・カットオフ5極管です.ヒーター電圧は中継局の電源事情に合わせた19Vが選ばれます.CZ管は直列で点灯することを基本にしていましたが、『球切れ』が起ったときに、不良球が一目でわからないという不便がありました.このため、独立して点灯できるように高いヒーター電圧が選ばれたのです.19Vですから、蓄電池の電圧22Vを降圧して供給します.


19M-R10_2.JPG 19M-R10は一般管の6CB6を元に設計されたと言われ、公開されている特性は同一です.しかし、写真でご覧のようにシールドをはじめ、全体の作りは全く別物を感じさせます.6CB6の場合シールド筒は必須ですが、19M-R10は内部シールドが十分に施されており、そのままでも使用できるようになっています.外側に見えるのは内部シールドで、プレートは外から見えません.上下のマイカ板の部分もシールドがあり、低ノイズ管6267ほどではないにしろ厳重にシールドされています.

19M-R10_4.JPG 19M-R10も日本電気(NEC)製が最もたくさん見られます.しかし、右端のように神戸工業(TEN)製もあります.構造、特性ともにNEC製と変わりません.いずれも作りの良い真空管で、アマチュア無線に限らすオーディオでも良い結果がえられます.

ところで、真空管の全盛期、'60年代にはNECやTENの一般真空管は特価品の代名詞でした.当時の一流品は何と行っても東芝(マツダ)真空管でした.NECやTENは30%〜50%も安い価格で売られていました.アマチュア無線家は実質を尊ぶ合理性を持った趣味ですから、TENやNEC製も愛用されました.(裏返して言えばHAMは皆ビンボーだった?)私も使いましたが、特に劣っていたと言う印象はありません.しかし、一流の電気製品や計測器では殆ど見ませんでしたから、寿命やバラツキと言ったすぐに見えない部分で劣っていたのかも知れません.有線通信管のように高度の信頼性と寿命を誇った真空管を製造していたこれらの会社も一般には馴染みのないブランドだったからでしょう.なお、NECに限って言えば、民生用真空管は殆どが子会社の新日本電気(滋賀県)で製造されていましたが、有線通信用真空管は本家・日本電気の工場(神奈川)で製造されていたようです.


6CB6_1.JPG 19M-R10の原形と言われる6CB6です.左は東芝製の6CB6A、右は日立製6CB6です.何れもTVのビデオ増幅(広帯域アンプ)に多く使われていました.TVのトランスレス化が進むと、ヒータ電流600mAの3CB6が多く使われるようになりました.オーディオではまず使われることのない球です.使えない訳ではありませんが、ここまでHigh-gmの球は必要なかったからでしょう.また、6AU6のように管内シールドがないのも使われない理由でしょう.アマチュア無線用としては発振管、混合管などに特に良く使われます.50MHzくらいまでの高周波信号を扱うにはたいへん良い真空管です.但しAGCが掛かるIFアンプにはシャープ・カットオフ特性なので適していません.今でも安価に入手できるはずです.


6CB6_Tos_2.JPG 19M-R10との大きな違いは管内シールドが無いことです.このように透け透けなので構造が良くわかります.5極管ですが、サプレッサ・グリッド(G3)は網目ではなく、単なる板状の門が立っているだけです.構造から見て6CB6はシールド筒に入れて使うのが普通です.


19R-P11_1.JPG ST管のCZ-504Dに換わる出力管として開発された19R-P11です.パワーが大きな真空管は放熱の点から9pinのmt管(ノーバー管)が適当です.管内一杯に詰込まれた感じがします.原形になった真空管は良くわかりませんが、チョット見た感じでは6CL6がいちばん近いように思います.緩く巻かれたサプレッサ・グリッド(G3)をもつ純然たる5極管構造ですが、よく見ますと第1グリッドと第2グリッドの目合わせがしてあるようにも見えます.これはビーム管ではないものの、スクリーン・グリッド(G2)の電流を低減し、グリッドの過熱を少なくする工夫かも知れません.それでも最大スクリーン・グリッド電圧Esgは低く抑えられており、3極管接続には不利です.無線送信機に使う場合もスクリーングリッド電圧には注意が必要です.また、純然たるA級増幅用に考えられた球ですから無闇にグリッド(G1)電流を流すのは良くないでしょう.High-gm管ですから余りグリッド電流を流さなくても十分ドライブ出来るはずです.(C級増幅の場合)


19R-P11_2.JPG 良く見えないかも知れませんが、3つのグリッドが見えます.19R-P11の場合、一番外側に見えるのはプレートで、裏表に各2本ずつのリブが設けてあり放熱を改善しています.また、上下のマイカ板の部分には複雑に折り曲げてあるシールド板があり、中和の施せない広帯域増幅でも安定に動作するように考えられています.CZ管の時代にはせいぜい数100KHzまでの広帯域増幅でしたが、mt管の時代になると中継器の周波数帯域も数MHzなり高周波管の構造が求められるようになってきました.


12BY7A_Tos_1.JPG 写真は東芝製の12BY7Aです.TVを分解すると必ずと言うほど入っていたものです.但し写真は一般TV用ではなく通測用Hi-S管です.広帯域増幅の出力管と言えば、何と言ってもTVの影像出力管です.12BY7Aは最も普及した球で、アマチュア無線の世界でも大活躍しました.トリオ(ケンウッド)、八重洲無線を問わず、ドライバ管として最後まで使われました.中にはアマチュア無線用の真空管と思っている人もいるくらいです.High-gmで高い周波数まで扱え、なおかつパワーが出せる特性は19R-P11と同じですが、構造はだいぶ違っているように見えます.寸断されたプレートと、枠型のサプレッサ・グリッドになっており、Cpgを少なくし、Coutも少なくする工夫のようです.プレート面積が小さいのでプレート損失はだいぶ損をしており、あまり無茶な使い方は出来ない構造です.しかし、スクリーン・グリッド(G2)の方がむしろ弱い感じで、低めに抑えないと損失オーバーで赤熱します.(ダメになります)


12BY7A_Tos_2.JPG 内部構造がわかるように拡大してみました.グレーの板がプレート、シルバーの枠型構造物がサプレッサ・グリッド(G3)です.上部にはプレス整形したシールド金具があり電極間の結合容量を低減しています.このあたりの考え方は19R-P11と共通です.

12BY7A_TX.GIF TV用の真空管、6CB6と12BY7Aを使った送信機は如何でしょうか.たしか元々の設計では6BA6と6BQ5だったと思いますが、地方でも入手が容易な真空管に変更しました.(古いTVから抜けばタダ)初めて作った送信機はこれに似たものでした.ベークのプラグインボビンに巻いたプレートコイルに豆電球を付けたワンターンコイルを結合させて光らせたのを思い出します.プレート電圧にもよりますが、出力は3〜4Wくらい得られた記憶があります.水晶発振は無調整型なので基本波を使います.しかし変形ピアース回路に変更して、3.5MHz帯の水晶を2逓倍して7MHz送信機にすることも可能です.(実際にはそうしていました)トランジスタを使った変調器を付けてA3でオンエアしたら、ローカルさんから変調が浅いと言われたのが想い出です.分解して部品取りしてしまったので今では影も形もありません.昔を思い出しながらもう一度作って、こんどはCWでオンエアしてみたいものです.真空管には19M-R10と19R-P11の組み合せも使えますから今度は有線通信管で遊んで見ましょうか.TV用のトランスレス管で使う人もなく超安価な3CB6と4M-P12を使うと『貧乏HAM』のリサイクル送信機らしくなります.(Hi) もちろんオーソドックスな6BA6(or 6BD6)=水晶発振と6AR5(or 6AQ5)=終段の組み合せでもOKです.電源に整流管5Y3を使っていますが、シリコンダイオードに変更するなら250Vを200Vの巻線に変更します.


19R-LL1_1.JPG 電話中継用増幅器は5極管で製作されていますが、実際には信号増幅系以外にも真空管は必要で、種々の用途に使える3極管も開発されました.写真は19R-LL1と言う双3極管です.中ミュー管ですが、比較的rpも低くオーデイオにも良い球です.ヒータ電圧は19Vのみで、12AU7のように6.3Vと12.6Vの両用ではありません.その代わり、両ユニット間にシールド板があるのは良い所です.ピン配置は、一般の双3極管と異なり、プッシュプルあるいはパラレルに便利にできています.同一のピン配置には2C51/5670/WE396Aがあります.特性的には12AT7に近似です.汎用3極管として幅広く使えます.


19R-LL1_2.JPG 防震マイカと位置決めマイカ板を別にするなど、電極精度を良くし、またガラス管との勘合も強固にして防震にも努めた丁寧な構造です.プレートも黒化ニッケルで放熱が良いように考えられています.アマチュア無線の用途ではマイクアンプなどの低周波回路のほか、水晶発振、VFOなど様々な用途があります.ピン配置がやや適当ではないのですがカスコードアンプにも使える特性を持っています.プッシュプル型ミキサーには良いピン配置です.


6M-H1_1.JPG VHF帯のグランデッド・グリッド(GG)アンプに使う6M-H1です.有線中継系ではなくマイクロウエーブ中継回線用に使われていたのでしょう.以前ご紹介したことがありますが、6J4を原形に長寿命化改良を行なった単3極管です.


6R-P10_1.JPG 6R-P10です.19R-P11よりも広帯域な電話中継用増幅器に出力管として使われていたようです.ヒータ電圧は一般的な6.3Vです.昔は何に使う真空管か良くわからず、中途半端な規格のパワー管だと思っていました.構造は12BY7Aに良く似ており、お手本にしたのかも知れません.12BY7Aよりもやや小振りの球なので、代用に使うには非力です.しかし、かえってQRPには良いかも知れませんね.Hi


6R-P10_2.JPG 構造を見ると12BY7Aに良く似ているのがわかります.プレートには2本のリブがあり、放熱の改善と変形強度をアップしています.ヒータ電圧は一般的な6.3Vですから普通の真空管用電源トランスが使えて便利です.


6R-R8_E180F.JPG 写真(左端)は同軸搬送中継器で使われた5極管、6R-R8Cです.6R-P10とともに超広帯域増幅器を構成していました.よく似た形状と性格を持った、E180F/6688を並べてみました.6R-R8Cは6R-R8/Aの改良型で、カソード物質の飛散付着によるグリッドエミッションと、寄生発振対策を行なったものです.導入初期に原因不明のピーヒョロ・ノイズに悩まされ、原因究明に多大の努力を行なった結果、6R-R8/Aに原因があることを突き止めたそうです.

E180F/6688は同じような形状を持ったHigh-gm管で、ビデオアンプ(広帯域増幅)用としてヨーロッパで開発されました.日本ではPhilipsと提携関係のあった松下電子工業によって国産化されますが、電話中継用ではなく、主に影像機器に用いられたのでしょう.6R-R8CもE180Fもフレームグリッド構造のHigh-gm管で低ノイズであり、増幅器だけでなく受信機のミキサー用としても優れた性能が期待できます.しかし、使おうと思っているうちに真空管の時代は遠い昔になってしまいました.


6R-R8C_1.JPG 6R-R8Cはジャンクがたくさん出ていたのですが、用途不明だったため人気はありませんでした.今も昔も具体的な使用方法が知られない部品は安価です.本来は広帯域増幅用なのですが、シャープ・カットオフ特性で低ノイズですからミキサー回路に向いています.今になって思うと、6CB6や6AU6などを使ったミキサーよりもずっと高性能だった筈で、そうした用途に積極的に使えば良かったと反省されます.もちろん、高周波一般に対する適性は持っていますので発振や増幅に活用できます.シャープカットオフ特性ですのでAGCを掛けるには工夫が必要です.

6R-R8C_2.JPG 6R-R8Cは緻密な構造の真空管です.小さな管内に精巧に丁寧に作られており、日本の電子管工業は高い水準にあったことを伺わせます.


E180F_Phi_1.JPG 写真はPhilips製のE180Fです.E180F(6688)はSQ管であり、ピン足が金メッキされています.ソケットとの接触不良によるノイズの発生を防止しています.(ソケットにも金メッキ品が必要)オーディオ用にも上手く使えば良い性能が期待できます.小型管で、マイカ板へのゲッタの飛散・付着が気になったのか、防止用に天井マイカがあります.通信機に用いた例としては、ワードレー・ループで有名な、RACALのRA-17受信機があります.1st、2nd Mixerとして使い低ノイズな特性を活かしています.(SQ管=Special Quality tube=材料から検査まで全てが吟味された特別な真空管です)


E180F_Mat_1.JPG こちらは松下電子工業製です.松下はPhilipsと技術提携して製造していたのですが、内部構造の細部が異なります.製造時期の違いかも知れません.ゲッタの指向性が改善されたためか、天井マイカが省略されています.しかし、同じように足ピンは金メッキされています.1969年の価格表を見ますと、松下の6688(E180F)は3,600円でした.同じ価格表でラジオ用5極管6BA6が375円ですから、6688はとても高価な真空管だったわけです.


WE408A.JPG WE408Aです.このサイトのトップページを飾る写真で登場していましたから既にお馴染になってしまったかも知れません.6AK5同等特性で、ヒータのみ20V/50mAになっています.おそらく米国の電話中継網で広帯域増幅に使われていたのでしょう.特性は6AK5そのままですから、応用も同じです.HF帯からVHF帯まで幅広く使えます.


6AK5_Tos_1.JPG 東芝製6AK5です.6AK5は第二次世界大戦中に米国WE社によって開発された真空管です.RCAが戦前に開発したエーコン管954に換わるVHF帯用5極管として開発されました.戦後すぐに放出物資としてアマチュアも入手でき、高性能なVHF管として喜ばれました.その後、使い易く安価な新型管が次々に登場するにつれて忘れられました.オーディオ回路には使いにくいのですが、無線用途なら様々に活用できます.各電極は小型でプレート損失も小さく、電圧最大定格も低いのでなるべく控えめに使うのが良いでしょう.プレートやスクリーングリッドに250Vも掛けると短命です.150V以下で使うのが良いです.電極が小振りで、しかもヒータパワーも少なく、発振回路に使うと周波数安定度が改善できます.受信機の局発やVFOには最適です.しかしQRP用送信機の終段としてはせいぜい1Wが良いところでしょう.昨今は1W以下の局も増えてきましたので6AK5で小型の面白い送信機が作れます.もちろんVHF帯でも良く働きます.

●(現代)真空管の使い方
安い真空管を目一杯使うのがアマチュア無線では普通でした.ですから6CL6のような小型管を4本並べて100Wも出すような恐ろしいリニヤアンプが雑誌に採り上げられたりしました.メーカー製でも似たようなもので、6KD6を4〜5本並べて1.2KW入力などザラでした.こうした使い方でも暫くは動作するでしょう.ただし、寿命や信頼性は台無しです.有線通信管は10万時間以上(連続10年以上)の寿命に到達した真空管です.一般の真空管でも'60年代に製造されたものなら数万時間の寿命があるでしょう.こうした寿命も規定の使い方をしてこそのものです.潤沢に真空管か供給されていた時代ならすぐに寿命が来るような使い方も合理的だったのでしょう.しかし、今では新たに製造される真空管はごく限定された種類のものでしかありません.なるべく規格を守り、長く役目を果たしてくれる使い方が良いのではないでしょうか.また、最近は本来オーディオ用ではない真空管を使ってアンプを作る方が多くなりました.ぜひともスクリーン・グリッド(G2)電圧を低く抑えて使いましょう.古典的な5極管や、オーディオ用途を考えてある5極管はプレート電圧に近いスクリーングリッド電圧を許容する設計になっていました.プレート電圧の利用率を上げるように設計した近代的な球は一般に低いスクリーン・グリッド電圧しか許容していません.送信管も例外ではなく、6146のスクリーンに350Vも掛けたのではすぐにダメになってしまいます.スクリーングリッドはプレートの内側にある関係で損失オーバーで赤熱しても良く見えないのです.プレート損失にばかり気を取られず、スクリーングリッドの定格に十分注意して応用しましょう.赤熱させて使うと、ガスが発生してすぐに死んでしまいます.5極管を3極管接続にして使う時には特に十分な検討をします.なお、有線通信用19V管は頻繁なオンオフがある機器には向かないとの注意書きがあります.これはヒータ電圧が高いので線径が細く、頻繁にオンオフするとラッシュ・カレント(突入電流)による断線の危険があるからでしょう.これを防ぐには、やや高目のヒータ電源を用意して直列抵抗を入れたり、定電流電源を用いれば防ぐことができます.内部抵抗が小さいスイッチング電源や定電圧電源を使うならソフトスタートの工夫をしましょう.注意を守り定格範囲で使えば一生モノです.


エピローグ
既に真空管を使った自作は合理性を欠くものかも知れません.価格が高騰しつつあるので経済性は悪く、性能も最新半導体式よりも劣るのが一般的です.しかし経済性を言うなら、コストパフォーマンス抜群なメーカー製やその中古品が溢れている現在、自作そのものが非常に趣味性の強いものになっています.そう考えれば、不経済であり、最高性能ではないとしても真空管を使って『自作』その物を楽しむのは間違いではありません.真空管を使った自作には幾つかの考えがあるように思います.一つは昔そのままの再現でしょう.それには誰でも知っているようなポピュラーな素材(真空管)を使う必要があります.さらに、ご紹介したようにポピュラーではなかったが高性能な真空管を今に発掘し、活用してみると言う製作もあるはずです.実際にオンエアして、相手局にどんな送信機(真空管)なのかイメージしてもらうという楽しみがあります.新たに有線通信用の真空管を購入するには高騰しすぎていると感じますが、もし用途不明の真空管としてジャンク箱に眠っていたら、ぜひとも復活させて遊んで見ましょう.

このページのきっかけは、再開したホームページに暫定的に置く写真として、WE408Aを登場させたからです.真空管展示サイトはたくさん存在しますが、殆どがオーディオマニアを対象にしています.オーディオではなく、純粋に無線用として扱ってみようと思い、制作しました.不十分な記述も多々あると思いますが、気が向いたら更新するつもりです.記述内容は資料にあたり正確を期したつもりですが、電話関係の業務経験はありませんので初歩的なミスがあるかも知れません.なお、あえて『搬送』については触れませんでしたが、これらの真空管は、電話音声の直接増幅ではなく、多重化した多チャンネル搬送波の増幅に使われたものです.


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End / おわり

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