Key words:FTDX-400,FT-400S,FT-401S,FT-401D,FTDX-401,Transceiver,SSB,Single Side Band,Restoration,Yaesu Musen

Restoration of FTDX-401 Transceiver

Good old days glow bug Transciever,Yaesu FTDX-401 again !
青春の思い出が蘇る、FTDX-401真空管式SSBトランシーバでOn the Air Again !

(Ver.1.0:Apr.26th2003/Ver.2.0a1:July 22 2005+Ver.2.1:Nov.30 2005)

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written by Takahiro Kato JA9TTT/JH1WBU, Saitama JAPAN

http://ja9ttt.homedns.org/hamf/radiorest/ftdx401rest2.html



このページの目的
1970年代の終わり、真空管式アマチュア無線機が最後の輝きを見せました。八重洲無線FTDX-401トランシーバもその一台でした。このページではその時代を懐かしむとともにレストアをご紹介します。


八重洲無線の1960年代
八重洲無線は昭和30年代に産声をあげます。しかし、当時はAM全盛の時代であり、自作機が主流であるばかりか、既にTRIOやSTARから送信機や受信機が発売されていました。HAM局数もまだ数万に留まっており、限られた市場に食い込むことは困難でした。最初はF型と称するSSBジェネレータを発売し、やがてそれを核にした送信機へと進みました。FL-10、FL-20と言ったFILTER Typeの送信機です。受信機は自作の高一中二にBFOとプロダクト検波を加えたり、9R59の改造機でも何とか我慢するとしましょう。しかしSSB送信機の自作は測定器に乏しいアマチュアには困難でした。このことからSSB送信機のニーズが先行したために送信機から発売したのでしょう。ところが、SSBでは運用の利便性の点でトランシーブ操作は必須と見なされるようになります。必然的に組合せてトランシーブが可能な受信機も揃える必要に迫られます。FL-100の時代になって受信機FR-100も発売するようになりました。しかし、何れにしても国内のSSBは黎明期にあり、米国市場を目指すのは自然なことでした。米国のHAM局数は桁違いではあっても、既にCollins、Drakeほか多くの著名・無名のメーカーがひしめいており、競争は激化していました。従って、単なるセパレート機では勝ち目はないと判断したのか、FT-50、FT-100と言ったトランシーバを送り込みます。これはトランシーブ操作が常識化しつつあって一体型のトランシーバが有利と見ての結果でもありましょう。当時は$1=\360の時代であり、米国での競争力は大きかったものと言えます。しかし国内ではSSB機は高額であり、思うように売れなかったようです。やがて思い切った簡略化を行なったFL/FR-50で国内市場を目指しますが、それでも9R59/TX-88AやSR-500/ST-333と言ったAM機よりも割高でした。

八重洲400シリーズ・トランシーバの登場
FT-50やFT-100は米国機を参考にしたとは言え、なかなか斬新なものでした。しかし、思うほどに売れなかったようです。米国は実利主義の国です。何と言ってもパワー当たりのコストの安さがもてはやされる世界でもあります。そこで、米国市場を主なターゲットとしたFTDX-400(1967年)なるOver 200W機を登場させ、攻勢を掛けることになります。FTDX-400は国内のHAMにとってはまだまだ高価なトランシーバでしたが、ドル・円レートから考えれば十分な競争力を持つ機械であったと言えましょう。また、それまでのSSB機の開発で得られたノウハウを結集した完成度の高いトランシーバでした。国内の状況はどうでしょうか。HAM局も初級資格の制定により、増加の一途を辿り始めており、HF帯は混信の渦にあり、米国の例にならった一刻も早いSSB化が望まれるようになっていました。徐々に所得水準も上昇し、高価であってもメーカー製を求めるHAMも増加していました。そのような状況を見て、八重洲無線はFTDX-400の廉価版、FT-400S(1969年)を発売します。FT-400Sは10W機であり、電源トランスの小型化ほか、10W局には当面必要のない装備をオプション化するなどコストダウンをはかった機械です。しかし、回路構成はそのままFTDX-400を受け継いでおり、基本性能も変わるところはありません。また終段管(6JS6A)を追加し電源部の改造を行なえば100W機へ改造することも可能でした。初級HAM局の将来を見越した点も大いに受けたのでしょう。当然この時代のベストセラーとなります。ほぼ同時に登場したTS-510Xと人気を二分しました。

八重洲400シリーズ・トランシーバの発展
FTDX-401は1971年に登場し、1976年ころ生産の終了が伝えられた寿命の長い製品です。その直接のルーツはFT-400Sにあります。 FT-400Sは初級HAM局用の廉価版で、当時はハイパワー版のFTDX-400も併売されていました。両機には類似性も多く見られますが、使用部品や板金にかなりの違いも見られます。似てはいても一応別物であった訳です。しかし、その後モデルチェンジにあったっては共通化が行われ、細部を見ればローコストが明白なFT-400Sをベースにしたモデルに統合されます。従って401シリーズはFT-400Sのマイナーチェンジ版であり、アクセサリを付加した発展型でもあります。なお、海外で見られるFTDX-560等は、海外ディーラーの要望を受けた名称違いの同一品です。また、八重洲無線は同一型番のままで、生産途中の改良変更を頻繁に行なうので、初期型と後期型ではかなりの違いがあります。FTDX-400やFTDX-401と言ったFTの後ろにDXが付く機種は、電源を強化し最強のTV用水平出力管6KD6をパラにしたOver200Wのハイパワー機でした。元々米国をターゲットにした機種であり、国内では当時には2%もいなかった第1級アマチュア無線技士専用モデルであったとも言えます。その当時、請求して送られてきたFTDX-400のカタログは英語版でした。DXタイプは国内をターゲットにしていなかったことを伺わせます。

SSBと八重洲無線
以上、ごく簡単に八重洲無線とSSB機を振り返ってみました。私が初めてSSBでオンエアしたのはFL/FR-50ラインでしたが、ごく短いものでした。本格的にはFT-400Sからです。当時を振り返ってみますと、『SSBなら八重洲』と言うのが偽らざる気持でした。TRIOからはTS-510と言う新鋭機が登場していましたが、それ以前の機種を見れば『信用ならないモノ』に思えました。例えばJR-300SやTX-388はトランシーブもできない不完全なものでしたし、国産唯一のPSNを使ったTX-40/20/15S+JR-500SのシリーズはまともなSSB機とは思えなかったのです。TS-510の先代、TS-500がFTDX-400より劣っていたのも明白でした。八重洲のFL/FR-50もなかなか怪しい機械ではありましたが、周波数安定度を除けば一応まともなSSBが出ましたし、既に登場していたFTDX-400では、内外からなかなかの称賛を得ていたのです。時代遅れのAM機にしか力を入れていないように見えるTRIOに対し、SSBと共に発展してきたような八重洲無線に信頼を置くのは当然であったと言えましょう。後年、TS-510,etcに触れ、TRIOのSSB機も完成度が非常に高くなっていたことを再認識しますが、当時はFT-101の登場に及んで、より一層、八重洲のリグに魅力を感じたものでした。そう言いつつも、FT-400Sは2年余りでおわり、次はTRIOのJR-599/TX-599の時代が長く続き、その後ICOMの全半導体式HFトランシーバIC720A,IC750A・・・シャックの主力機が八重洲無線に帰ることはなかったのです。その辺の事情はまた機会があれば。

レストアに際して
FTDX-401の時代にもなると、八重洲無線の米国での知名度も高くなっていましたが、まだまだ一部では三流品の安物に見られていたのも事実です。しかし、実際には十分完成度も高くなっており、Swanや Hallicraftersより優れてるように感じます。Collinsが一流なら十分に二流品以上の風格はあります。元々の性能も一定の水準に達していた機械ですから、故障修理と再調整で十分に使える状態まで復活できるでしょう。今の機械より単純ですから保管状態さえ良ければ、レストアもさほど困難ではありません。周波数安定度を決めるVFOも半導体化されており良好です。オンエアも十分楽しめるでしょう。


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FTDX-401.JPG the FTDX-401
レストアが終わったFTDX-401です。元々良いほうでしたが、相応の汚れが見られました。外装部分を外して洗剤で水洗いしました。パネル・ビニールも洗って再装着しました。写真で見るとそこそこですが、細部にキズやサビがあります。キャビネットやシャシが鉄板で作られているので年数が経過すると錆が出てきます。Collinsのように外装がアルミ板が主体なら古くなっても清掃すれば奇麗になります。しかし安価な機械なのでやむを得ないでしょう。パネルとサッシ部分はアルミですから清掃で美しくなりました。

400シリーズのトランシーバは、アルミサッシとアルミの質感を活かしたパネルを用いてシャープな印象を与えるデザインです。パネルの文字も掘り込んで文字入れされており、高級感を与えます。明るいモダンな印象を与えながら、安っぽさを感じさせないうまいデザインと言えるでしょう。戦後のアマチュア無線は、米軍余剰品の活用から始まった影響もあって、機械の色はグレーやオリーブ、或いは黒っぽい地味なものが好まれる傾向もありました。それは現在でも続いており、明るい色調を持つ機械は殆ど一掃されてしまいました。汚れが目立ちやすい明るい色調は敬遠される面もあるかと思いますが、軽快で明るい色調を見直しても良いのではないかと思います。むしろ、プロ用の通信機でも非軍用機では明るいデザインを持つ機器も多く、アマチュア機の方が黒っぽい地味な色調になっているようです。FTDX-401の明るくシャープなイメージはその後の機械にもない好感を抱かせるものだと感じます。


401_Dial.JPG ダイヤルの様子です。400シリーズの初期は1回転25KHzのダイヤルでした。その後ボールドライブ併用の100KHzダイヤルになりました。400シリーズの特徴は、ダイヤルエスカッションがクロームメッキで光っていることです。私は好きですが、照明の反射が眩しくて疲れると言う意見がありました。一時期、梨子地に加工されたこともあります。梨子地の渋い感じも悪くはありません。

VFOは500KHz幅です。FTDX-400とは少し異なる周波数に変更されますが、これはバンド内に現れるスプリアス対策からです。このため、外付けVFOの選択には注意が必要で、それぞれ専用のVFOを用いる必要があります。FETの3SK22GRでクラップ発振回路を構成し、その後FET(2SK19)とTr(2SC372)の2段バッファが続きます。FTDX-400の時代にはバイポーラ・トランジスタ2SC372を使った変形コルピッツ回路のVFOでしたが、TRIOがFETを使ったVFOを採用し、盛んにPRしたこともあって、対抗上FET化されました。実際にはバイポーラ・トランジスタでも適切な設計で良好な周波数安定度を持ったVFOが可能です。むしろデバイスの種類よりもLCと言った周辺部品や温度補償の巧拙のほうが影響は大きいものです。しかし、最新デバイスであったFETの採用を見送れば、劣ったイメージを与えかねないため、各社ともFET採用のVFOになったようです。特に400シリーズト・ランシーバは八重洲のフラグシップ機ですから最新デバイスや最新の技術に無関心ではいられなかったのでしょう。温度が上がるハイブリッド機のVFOは厳しいのですが、周波数安定度は良好でした。30分もすればラウンドQSOに仲間入りできます。なお、多くの古い機械に接した感想から言えば、トリオのVFOの方が当たり外れが少なと感じます。

401_PA_Tune.JPG パネル面の右上の部分で、終段電力増幅のプレート同調と負荷調整です。プレート同調はボールドライブで減速してあります。YAESUMUSENと言う文字が見えますが、FT-400SやFT-401Sには無いものです。ネジで止めた社名板です。デザイン上、たいへん邪魔だと感じるのですが、他の部分に八重洲無線を示すものが無いので追加したようです。他にはダイヤルエスカッションのバッジに小さくYAESUの文字があるだけです。(上の写真参照)どんな機器でもメーカーの名前がデカデカと書いてある製品は嫌いなのですが、ネジ穴が残るのでそのままにしました。

401_Band.JPG バンドは、80m(3.5MHz帯)から10m(28MHz帯)までのHF帯5バンドです。10mバンドは4分割でカバーします。JJY/WWVは10MHzで、FTDX-401は最上位機種ですからフルオプションであり、マーカーオシレータと共に最初から実装されています。なお、ドライバアンプのプレートコイルを1つ追加するれば10MHz帯でも送信できるように改造できます。更に他のWARCバンドもAUXポジションに追加できますが、各ポジション毎に3個ずつコイルが必要です。また、終段タンクコイルのタップ追加も必要です。 160mバンドの追加は多少困難で、終段タンク回路の改造も必要になります。しかし、実際に改造していた局もあるようです。

401_Mode.JPG 後期型なので多くの改造がありますが、外観でわかるのはAMモードの追加でしょう。このAMモードを追加するためにスイッチ背面に発振回路と変調回路が追加されています。SSBとCWが目的のトランシーバにAMの追加など必要ないはずです。これは海外ディーラーの要求で追加したものと思われます。競合他社の機械にAMモードがあったのでしょう。当時、HF帯はほぼ完全にSSB化されており、AMの必要はまったくありませんでした。しいて言えばFTV-650を付加して6mバンドで使うとき便利な程度です。聞くところによれば、米国では27MHz帯のCBに使った輩がいたようです。そうした用途にも販売したかったのでしょうか。

401_S9_Over.JPG S9オーバーで信号が入感中です。Sメーターは逆振れ式で、零点は右端です。スケール中段はプレート電流目盛で、フルスケール1Aです。6KD6は大電流が流せる球で、瞬時的にはアンペアオーダーの電流が流せます。暴走するとメータが振り切れることがあります。(一瞬で球もお釈迦ですが)CWのフルパワーで600mA程度流れ、プレート電圧800Vなので480W(DC)入力です。容易に200W以上出ます。しかしフルパワーの連続送信は危険で、チューニング時には200mAに抑えるよう目盛があります。ALC目盛はSメータ同様に逆振れで、右端のグリーンのゾーンに留まるよう、マイクゲインを加減します。POポジションで相対出力を表示しますが、任意に感度調整できるので、目盛は意味を持ちません。デザイン上やむを得ませんが、もう少し大きなメーターの方が読みやすいように感じます。

401_SLSW.JPG メーター下の各種切換用スライドスイッチです。FT-400Sから採用されたもので、FTDX-400ではVRと同軸になったロータリースイッチで行なっていたものです。しかし特殊な同軸状のロータリースイッチやVRは割高になるため、部品のコストダウンを図ったのでしょう。お陰でデザインも何となく安っぽくなりましたが、この安物のスライドスイッチは接触不良が起りやすいのが大問題です。清掃のためにパネルを外したので、合わせて分解清掃したました。同時に余った回路を使って接点が並列になるよう改造しました。もう少し良いスイッチを使ってくれれば良かったと思います。


401_TOP.JPG FTDX-401の内部
シャシ上面です。受信部の第1ミキサ以降、送信部の第1ミキサまでがプリント基板上に実装されています。大きなベーク片面基板ですが、止めネジの数が多いので反りありません。経年変化でパターン剥離しやすく、部品交換の時は要注意です。写真では終段電力増幅部は内部が見えるようにしています。400シリーズは電源を含むオールインワンなので重量は大変です。入力電力相応にトランスも大きく、レストアの時にはひっくり返すだけでも重労働です。Hi

FTDX-401には20本の真空管が使われています。簡単に種類と用途を纏めてみました。200番台の真空管はプリント基板に実装されています。なお、半導体も多数使われていますが、VFO部を除き補助的な用途です。

番号 型番 機能・用途
V1 6BZ6 高周波増幅(受信)
V2 6BA6 水晶発振(送受)
V3 6AH6 送信第二ミキサ(送信)
V4 6GK6 ドライバアンプ(送信)
V5 6KD6 終段電力増幅(送信)
V6 6KD6 終段電力増幅(送信)
V7 VR-105MT 定電圧放電管(送受)
V201 6CB6 送信第一ミキサ(送信)
V202 6CB6 受信第一ミキサ(受信)
V203 6BE6 受信第二ミキサ(受信)
V204 6BZ6 受信第二IF(1)、送信第一IF(送受)
V205 6BA6 受信第二IF(2)(受信)
V206 12AU7 キャリヤ発振(送受)
V207 7360 平衡変調器(送信)
V208 12AX7 マイクアンプ(送信)
V209 12AT7 VOXアンプ及びリレー駆動(送受)
V210 6BM8 低周波増幅・電力増幅(受信)
V211 6BA6 VFOバッファ(送受)
V212 6U8 トーン発振器(送信・CW)
V213 12AU7 プロダクト検波(受信)


401_Final.JPG 終段電力増幅部です。終段管は6KD6の2本並列です。2本はかなり密着していますから冷却エアーを十分流してやなないといけないようです。6KD6は背丈が高いので、ソケットはシャシより沈めて付けてあります。

401_VR105.JPG 終段部シールドボックス脇の定電圧放電管VR-105MTです。放電光が妖しく輝きます。放電中はかなり発熱します。定電圧放電管は消耗品ですがスペアの入手は困難になりつつあります。もし入手できなければ半導体で代用するのが良いでしょう。

401_RF.JPG 受信高周波増幅、送信部第二ミキサとドライブアンプ、送受共用の局発です。高周波増幅はHigh-gmの6BZ6です。TVのVideo-IF増幅用に開発された球で、ハイゲインローノイズです。送受共用の局発は、6BA6を使った変形ピアース水晶発振回路で、基本波を使うバンドと逓倍波を使うバンドがあります。80m、40mは基本波、他のバンドは2倍或いは3倍を取り出します。オーバートーンではありません。送信第二ミキサーは6AC7のmt管版、6AH6です。ドライバアンプは6KD6を十分ドライブするために6GK6が使われています。6BQ5や7189と電気的特性は同等ですが、ピン接続が異なります。真空管の配置は、写真下(パネル側)から、6BA6(V2)、6BZ6(V1)、6AH6(V3)、6GK6(V4)です。6GK6は発熱の関係でシールドのハカマ部分のみです。プリセレクタ(兼ドライバ段同調)の6連バリコンもここにあります。シャフト下の基板は100KHz/25KHzのマーカーです。水晶はHC-13/U型100KHzです。

401_COIL.JPG それぞれ6個の穴の開いた箱は、受信アンテナ同調、高周波同調(兼送信ミキサ同調)、ドライバ負荷同調の各コイルが入っています。トラッキングはコアで調整します。写真下側パネル寄りから受信アンテナコイル(L801〜L806)、中央がRF同調兼送信ミキサ同調(L901〜L906)、終段電力増幅部寄りがドライバ同調(L1001〜L1006)です。

401_BM.JPG キャリヤ発振とバランスドモジュレータ(BM)部分です。BMはビーム偏向管の7360です。キャリヤバランスは、写真下部中央の半固定抵抗器VR201(5KΩ)で調整します。

401_XF.JPG SSB用とCW用のクリスタルフィルタです。切換えはシャシ下部のサブ基板に実装されたダイオードスイッチで行なっています。帯域幅はSSB用が2.4KHz、CW用が500Hzです。

401_BPF.JPG 修理で泣かされたバンドパスフィルタ(BPF)です。このFTDX-401は程度はマアマアでしたが、コアやトリマコンデンサが無闇に触ってあるのが問題でした。このBPFは触りたくなかったのですが、他の部分を調整してもパワーがでないので確認したところ、特性が崩れていることがわかりました。5520KHzから6020KHzの間で平坦な周波数特性でなくてはなりません。トラジェネとスペアナを使い再調整しました。自然に大きくズレる可能性は低く、再調整も大変ですから触らないほうが賢明です。

401_NB.JPG VFOユニットの上に実装されているノイズブランカ基板です。あまり効くとも思えないので無くても良い程度のものです。ノイズブランカは、国産ではFT-101に採用が最初でした。

401_AM.JPG 下の基板にピントが合ってしまいましたが、モードスイッチ裏のAM送信基板です。いらない機能なので興味も湧いてきません。Hi

401DET.GIF FTDX-400の時代からずっと採用されている検波回路です。いわゆるCollins型と言うようですが、歪み感もなく良い音がします。カソード回路は共通ですから12AU7ではなく、6J6や6M-HH3でも良いのではないでしょうか。他の機械に改造して組込むなら、7Pinの球の方が便利でしょう。回路定数をみますと、IF信号をかなり絞っているようです。また、BFOの注入電圧は多少調整が必要なようです。


401_Under.JPG シャシ下側です。パネル側から後部まで貫く長いシャフトはバンドスイッチです。多段スイッチゆえノブが重いわけです。

401_SubPCB.JPG 大きなプリント基板の下側です。後から追加された小型の基板がたくさんあります。ゴチャゴチャしているのでメンテナンスは容易ではありません。電圧を測定しようにも部品や基板が邪魔してうまくできません。製造も大変だったようで、配線コゲも見られます。これを見ると改造や改良も、もう限界まで達していた感があります。(良くやりましたね。Hi)

401_AGC.JPG 増幅型のAGC回路です。FETをプレート検波のように使った回路で、よく働きます。2SK24と言う金属パッケージのFETが見えます。
以前、この回路を受信機FR-100Bに採用して改造したことがあります。なかなかうまく働いてくれたのが思い出されます。

401_Fin_Cup.JPG 交換したほうが良いコンデンサです。ドライバ管6GK6のプレートから終段管の6KD6グリッドへ行く部分の結合コンデンサです。(黄色いリード線のチョコレート色のもの)やがて劣化してリークするのは確実です。FT-101などでも交換が必須とされています。

401_Neut.JPG 中和回路のコンデンサです。これも交換すべきものです。なお、写真の右上の部分に中和バリコンの調整ネジが見えます。中和調整は、スクリーングリッドに負電圧を掛けて終段の動作を止める方法が安全です。ダミーロードに漏れてくる信号が最小になるよう中和バリコンを調整します。


6KD6_NEC.JPG 終段管・6KD6の事故
写真は付いていたNEC製6KD6です。各部の調整が済んでも規定のパワーが出ませんでした。そこで終段管を確認したところ、6KD6のプレートに穴があいていました。穴があいている方の6KD6は完全なエミゲン(エミッション減退)で、終段管がシングル同然の状態になっていました。これでは50〜70W程度しか出ないはずです。これは事故というよりも用法に問題があったと言うべきでしょう。CW/AMでフルパワーの連続送信でもしたのでしょうか。


6KD6_NG.JPG 穴のあいた6KD6のクローズアップです。よく見るとスリット状の穴があります。過酷な連続送信でこうなったのでしょう。

6KD6_Toshiba.JPG 手持ちに予備の6KD6はありません。どなたかお持ちでないかと14MHzの常連さんに相談していたところ、釧路のJA8MML中村OMにブレークを掛けて頂きました。少々使ってある中古品でも宜しければ差上げますとの有りがたいお話でした。中古とは言え、穴あきの6KD6よりはマシでしょうから早速頂戴いたしました。数日後、6KD6が2本届きました。最近6KD6はずいぶん高騰してるので、中古でもとっても有難いです。

401_PO.JPG 早速交換しました。パワーの少ないバンドで160W程度、調子の良いバンドなら220Wくらい出ます。まだ調整の甘いバンドがあるのかも知れません。しかし、真空管は良好だと言うことがわかりました。FBな6KD6を頂戴致した、JA8MML中村OMに改めて御礼申し上げます。


FTDX-401の受信部性能
最後に、最新の評価手段によって、FTDX-401トランシーバの受信部性能を評価した結果を記載しておきましょう。
測定周波数は14MHz、入力2信号は20KHzセパレーション、CWモード、フィルタはCW用(500Hz)です。

ちなみに、FTDX-401の生産終了3年後に登場したFT-101ZDの性能は同一測定条件で以下のようになりました。 そして、比較的近代的な受信機、JRCのNRD-535では以下のようになりました。時代の変化を感じさせます。 FTDX-401の数字は、当時のリグとしては標準的なものです。他社のリグも同じようなものでした。
現在では、IIP3>+30dBmを普通のように言うのですから受信機のフロントエンドも進歩したものです。
しかし、数値ほどに受信機が良くなったとは感じさせてくれないのは悲しいところでしょうか・・・。

計算式:
*SFDR=(Max SF input)-MDS   ie:-58.5-(-130.2)=71.7
*IIP3=1.5xSFDR+MDS      ie:1.5x71.7+(-130.2)=-22.7

なお、上記のデータは、特定の個体を評価した結果であり、その機種を代表する数字ではありません。


エピローグ
八重洲400シリーズ・トランシーバは、真空管を主体にしたSSBトランシーバとしては最も完成度の高いものです。1967年の初登場以降、半導体回路によって幾つもの機能追加を行なうことによって長い製品寿命を維持できたのでしょう。しかし、本質は初代のFTDX-400と何ら変わるものではなく、感度、選択度、周波数安定度に大きな違いはありません。それだけ当初の設計が優れていたことを示しています。FTDX-401の時代には既にFT-101も発売されていましたが、シャックでの存在感はFTDX-401のほうが大きく、八重洲無線がラインから外すことが出来なかった理由なのでしょう。真空管主体ではこれ以上の機能追加は不可能な状態に達していたのも事実ですが、1976年頃には次々に真空管の製造が中止され、良質な球を確保するのが難しくなってしまったことも生産中止に追込まれた原因でしょう。製品としての機能・性能は何ら生産中止する必要はなかったものを感じさせます。もちろん、真空管を多用した機器は不利な面もあります。20本もの真空管を使用しているため、温度上昇が酷く、夏期にはキャビネット上部が触れないくらいになります。昨今の機器しか知らない者にとっては異常を感じさせるほどなのです。私自身も、かつて使用していた時代を忘れており、久しぶりに使ってみてビックリしたほどでした。こうした発熱と温度上昇は、機器にとって不利で、寿命に対して少なからぬ影響があるでしょう。なるべく通風の良い状態で使うのが良いはずです。狭い棚やラックに押し込むのは良くありません。

まだ若かったころ、FT-400Sから本格的にSSBでオンエアを始めました。しかし、ウオームアップが必要でスイッチオンですぐ音のでないトランシーバには「じれったさ」を感じました。やがて半導体機へと乗り換えました。FTDX-401のレストアで古き良き時代の八重洲無線に巡り合えた気がします。ややもするとその低ノイズから感度不足さえ感じてしまいました。しかし、それは悪戯に後段ハイゲイン化した昨今の無線機のノイジーさになれてしまっているからでした。スイッチを入れる。やがて真空管が暖まり、スピーカーから軽いノイズが聞こえてくる。ダイヤルに手をやれば暗闇で照し出されたかのごとく、シグナルが鮮明に浮かび上がってくる感覚。それは今では失われてしまった世界でした。スイッチオンの瞬間からあの日に帰ったラジオ少年にノスタルジーとともに新鮮な驚きが蘇った一瞬でした。

本編は、2003年4月26日に登場した初版を追記・改訂したものです。FTDX-401で最後を飾った、八重洲無線の400シリーズトランシーバの発展過程を追記しました。製造終了から既に30年ほどが経過し、実働状態にある機体も少なくなったものと思われます。今となっては主力機種として使うのは困難ですが、当時を思いつつ、時々オンエアするのも感慨深いものがあるのではないでしょうか。お持ちの方は、たまには、ぜひともダイヤルに手をやって下さい。1960年代から1970年代への想い出の一編として纏めてみました。


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End / おわり

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